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Oasis

くちの中は鉄の味がした。

おそらく口の中をきったのだろう。


ツナは銃で地面に顔を押し付けられた状態でそうおもった。


目の前にいる男の不敵で不気味な表情を見据える。


眼がだんだんかすみつつあるなかでもそいつの顔ははっきりととらえられた。


―こいつを殺してやりたい



ツナの頭の中にはそれしかなかった。


こいつを殺して、綱吉と二人だけで穏やかな暮らしをしたい。

これがツナの2年前からの願い。


ツナにとって、綱吉は太陽だ。
太陽がいなければツナは輝くことのできない月ようだ。

太陽がいなければ生きてはいけない。






―何年一緒にいると思ってんだ。

もう16年、オレは綱吉のそばにいて、誰よりもあいつを見てきたんだ。

誰よりもあいつを想っている。




だから絶対綱吉をこんなやつにわたすもんか。




ツナは憎悪の入った瞳で白蘭を睨んだ。

白蘭はそれを妙に優しく微笑んでみた。

「綱吉クンと同じ顔でそんなに睨まないでよ。」

それから、ツナのほうに歩み寄り、ツナの頬にそっと触れた。


「なんで、おんなじ顔した双子のうち彼に執着するか分かるかい…?」


「…っは」

理解できないという表情をしたツナの顔を見た白蘭は薄目にしてこう言った。



「本物だからだよ。」



「彼はこの国の正当後継者だ。これだけで本物と言えるかもしれない。でもちがう。彼にはそれだけじゃない“何か”がある。それに僕は本物を見出してるんだ。
君も分かるよね?16年も一緒にいるんだから。」
と白蘭は笑って言った。

白蘭の笑顔はおそろしく冷酷で美しかった。


―こいつ本気なんだ。

ツナはこのときはじめて恐怖感を覚え背筋が寒くなった。


白蘭は綱吉に興味を持つ理由など。正当後継者であることとただの容姿のかわいらしさだけだと思ってた。


なのに、こいつは綱吉のほかにもってない特質に気づいてる。その上で彼がほしいと思ってるのだ。



「さて、歓談は終わりだ。そろそろ綱吉クンを呼んでもらおうか。」



ツナは派をギリっとかみしめ白蘭を見上げた。




綱吉、頼むからここには来ないでくれ…!!!

一刻もはやくここから逃げてくれ…!!!!!!




その時神に裏切られた音がした。

ガチャリ


「ツナ、ここにいませんか?」



綱吉…!!!!!!











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あきゅろす。
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