Oasis 九 ツナどこにいったんだろう…? あれからあちこちを捜してみたけれどどこにも見つからない。 嫌な予感がする。 早くツナのもとに行かなくてはならない気がする。 あと捜してない場所はどこだろう。 庭のほうに出てみた。 さっきまであんなに天気だったのに気づけば曇ってきている。 雨が降るのだろうか。 心なしかじめじめしている。 嫌だな。 春の雨はじとっとしていて、生あたたかい。 だがそれも砂漠に降れば天の恵みだ。 まぁ。俺が砂漠に行くことはないだろうけど。 砂漠にはこの国の反対勢力の集落があるらしく、何度も紛争をしているらしい。 今は停戦状態らしいが、拮抗状態もそう長く続くまい。 そんなことを考えていると、目の前にツナギを着た男の人が立っているのが見えた。 何をしているのだろうかと思って近くまで近寄ってみた。 「何してるんですか?」 俺がそう声をかけても相手は何も返事しない。 よく見るとイヤホンをしている。 話しかけても無駄かなと思っていたら、ブーンとモーター音が聞こえた。 気づくと俺の後ろに俺の体よりも大きなロボットがせまってくるのが 見えた。 「邪魔。」 ツナギの男に低い声でそう言われたが、俺は後ろの巨大ろぼにびっくりして、その場に腰をぬかしてしまったのでロボットにぶつかりそうになった。 「ひぃっ!!」 俺は頭を両腕でかばって目をつむった。 ぶつかる!!! あれ?衝撃がない。 目をそろりと開けてみるとロボットの姿はなく、目の前にはツナギの男がいた。 そして俺はそいつの腕の中にいた。 「大丈夫か」 そう一言きかれたが、俺は恥ずかしくて、はいとしか答えれなかった。 「ウチはここで、ロボットもシミュレーションをやってる。危ない目にあいたくなかったらここに来るんじゃない。」 そういうと、ツナギの男は作業にもどった。 よくわからなかったが、言うことは聞いた方がいいと思ってその場を急いで離れようと立ち上がった。 「そうだ!!こんなことしている場合じゃない! ツナを探さなきゃ!!!」 ふと、ツナのことを思い出し、俺はひとり叫んでその場から走ってさった。 ツナギの男の視線を後ろに一身にうけながら。 . [*前へ][次へ#] |