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らぶ・ろまんす
D
「いやー…、びっくりしましたよ」
六道は朗らかに笑いながら、車道側を歩く。意外に交通量の多い並盛の道路の脇を六道と綱吉は歩いていたのだ。
綱吉は苦笑いの浮かべながら、六道の右隣りを歩く。
内心彼の頭の中では、「どうしたらいいんだ…」という疑問符が飛び交っていた。

「つなさんがいきなり学ラン姿で現れるものですから、てっきり、仮装か何かかと思いましたよ」

すっかり綱吉が『女』であると誤解している六道はあの時待ち合わせ場所にやってきた学ラン姿の綱吉を雲雀に強制されて着て来た姿なのだと勘違いしているのだ。
そんな感じに勘違いに勘違いを重ねていく六道を見て、綱吉は心中で大きなため息をついた。
(いつ、言えばよかったのかな。やっぱ、今日会ってすぐ言えばよかったんだよね)
今日会って、すぐ綱吉は確かに言おうとした。
『実は昨日の恰好、あれは雲雀さんが趣味で俺に着せたというか……つまり、俺男なんですよね』
って言おうとししたのだ。
そしてその言葉を発するため、
「実は昨日の恰好……」
まで言うと六道が「あぁ!」と勝手に合点のいった顔でこう言ったのだ。

「今日は雲雀に無理やり学ランを着せられたのですね!女の子なのに、風紀委員に入ったからといって学ランを強制させるなんて!本当にあいつはデリカシーのかけらもないやつですね」
そう言って六道は今日の綱吉の学ラン姿について一人で納得したのだ。

(まぁ、全く的外れな方にいっちゃってるけどね)

六道に気づかれないように綱吉は小さく苦笑した。
それでも綱吉は別になんとも思いはしなかった。別に自分が女だと思われていようが、男だと思われていようが別にそんなこと大差はないと思っていたのだ。

「六道さん、今日はいっぱいおいしいケーキ食べましょうね!」
にっこりと新たにできた友人に対して綱吉は微笑んだ。
その笑みにつられ、六道も頬を赤らめたまま自然な笑みを作った。




「ほんっっっとここのケーキおいしい!今まで全然知らなかったよ!」
綱吉は綺麗な形に仕上がったモンブランの端からちょっとずつ食べていく。
そのおいしそうにケーキを食べる姿を見つめながら六道はにこにことほほ笑んでいた。

「……?六道さん。食べないんですか?」

ずっと自分のほうばかり向いている六道を不思議に思った綱吉はそう訊ねる。すると六道はハッと気づいて顔を赤くし、「ぃや、あのっ、たべます」
と焦ってチーズケーキを食べ始めた。
その焦る姿がなんとなく可愛くて綱吉は小さく笑った。
(なんか美形がこんな風に焦ってるのって新鮮…っていうか)

ぼんやりとそう考えている綱吉に対して、六道はまだ顔を赤くしたままチーズケーキをほおばっていた。










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あきゅろす。
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