[携帯モード] [URL送信]

らぶ・ろまんす
B
「じゃあ、明日の16時に校門まえで」
そういって六道は嬉しそうに応接室から立ち去った。
そのようすをどこか楽しそうにみている綱吉に向って雲雀は苛立ちを隠しきれずにこう尋ねる。
「いったい、どういうつもりなのさ」
不機嫌そうに眉をハの字にし、口を曲げながら彼はそういった。
「なんのことですか?」
綱吉は雲雀の不機嫌に気づいてはいたが、『何について』不機嫌なのかには気づいてはいなかったので、いぶかしげに雲雀を見つめた。
「さっきの……六道と、どうして一緒に行く約束なんかするの」
「別に…、そんなの行ったとして何が悪いんですか」
綱吉は理不尽にも見える雲雀の怒りを理解できず、若干いらっとしながらそう答えた。
その様子が気に入らない雲雀は率直に尋ねる。
「君……六道が好きなの」
しんと一瞬二人の間にある空気が無くなりおよそ真空状態のような静けさが襲った。
綱吉は雲雀を目を丸くして見上げ、雲雀は眼光を鋭くして、綱吉を見下ろした。
この重苦しい沈黙をさきに破ったのは綱吉であった。

「……何いってるんですか?雲雀さん、六道さんも俺も『男』ですよ?そんな馬鹿なことあるはずないじゃないですか!」
笑いながらそういう綱吉には、隠すようなそぶりも動揺も見られなかった。
しかし雲雀にはまだ疑いがあった。だからまだ追及をやめない。

「そんなこといっても、六道はわからないじゃないか。六道は君のこと『女』だと思ってるんだから」
「なんで、六道さんが俺のこと女だって思うんですか?俺確かに童顔で女顔ですけど……」
綱吉はちょっとすねた顔で唇を前に突き出しながらそういった。
雲雀はそんな綱吉を見て長い溜息をつき、そして一言こういった。

「君、自分の格好鏡で見てきな。」
いまだ、雲雀の言っていることが理解できない綱吉は「ん?」と言って、窓越しに映る自分の姿を見ようとする。
そのことにも呆れつつ、雲雀はもういちど小さく息をついてこう言った。

「セーラー服着てるでしょ」

雲雀に指摘されてはっと気付いた綱吉は「あぁあああああああああーーーー!」と叫び声をあげその声は並盛高校全体に聞こえわたりそうなものだった。

その時雲雀はこめかみをぎゅっと抑え、
(この子大丈夫かな、……頭脳的な意味で)
と真剣に考えた。














.

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!