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これは悪夢?(サソリ夢)

「サソリさんなんて大っ嫌いだ」


嫌い。嫌い。大嫌い。
そう言ったお前に俺はどうしたらいい?





「大嫌い…」

未だそう呟き、目をギュッと瞑る
まるで俺を全て否定されたようで心がぐらついた

俺はいきなり拒絶されるような事をした覚えがないし、事実アイツが嫌がるような仕草なんてついさっきまでなかったはずだ
それなのにいきなり俺を「嫌い」だとかで拒絶し始めたアイツの方が俺にとっては意味が全くわからない

「オイ…どういうことだ」

「サソリさんなんて大嫌い…っ」

全く会話にならない
何が言いたいんだ?何を伝えたいんだ?何をわかってもらいたいんだ?
心はないはずなのに凄くぐらつくこの感情は何だ?

アイツは俯きかげんで胸元を強くおさえ、苦しそうに同じ言葉を繰り返す

「嫌い、嫌い、嫌い、嫌い…っ」

「お前、聞いてるのか…」

…おかしい
何かがおかしい。
俺がおかしいのか
?お前がおかしいのか?
嫌な予感しかしないのは何故だ?

アイツの元へ駆け寄れば胸元が赤かった

赤い…紅……血?

薄らではあるがアイツがおさえてる胸元から血が滲み出していた
慌てて様子を見ようと腕を掴もうとしたら見事に払われた

「なんで怪我してること言わなかった!?」

「…怪我なんてしてないよ」

やっとまともな会話が出来が、未だ俯きながら胸元を強くおさえていた
表情はよく読み取れないが、かなり苦しんでいるのだけは嫌でもわかる

「馬鹿言ってんじゃねぇよ!いいからその傷見せてみろ!」

もう無理にでも腕を掴み上げてやると決めて腕を強く掴み、胸元から離した

そこで俺はこれが嘘であってほしいと願った
…例え嘘だとしてもこれは正直キツい





「…ッ!!?」


…心臓が、ない
アイツの心臓が丸々ない


「サソリさん見ちゃったね」

心臓がない当の本人は顔を上げてニッコリ笑ってやがった
穴がポッカリ空いた周りの気管などが自分を主張してるとばかりに動いている


こんなグロテスクな場面に会ったのは二度目か、と一瞬冷静に考えていたがそれは自分だ
相手は他人で自分にとって必要不可欠な存在だ…何故こんな事になっている!?

「お、まえ…それどうした」

言葉が思ったより出てこない…そうとう焦ってんだ
呼吸さえもままならない

「あれ?サソリさん忘れるなんて酷すぎですよ?
ちゃーんとあるでしょ…















貴方の心臓の隣に。」



俺の鼓動が1つ止まった気がした




それは悪夢?
(いいえ、それは  )

(嘘だ。だれが俺をこの悪夢から呼び戻して)
(夢から覚めたらお前は嫌い、なんて言わないよな)


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