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堕ちた天使様(骸夢)


「届かない、ですね」

「…はい?」


それはヘルシーランドでの出来事。












ソファに座ながら僕は頬杖を付き、片腕を伸ばし、目の前にいる君を掴もうとするが空回りで僕は君ではなく空気を掴む

それがもどかしくて不思議と愚かだとわかっていても何何度も空気を掴み、終いには溜め息を付く始末

「どうしたんですか、骸様?」

部屋の片付けをしていたせいか埃が少しついてしまった為、払いながら僕に寄って来る君

でも君は決して僕の手の届く範囲には近付いて来ない

「うーん、届かないんですよ」

「届かない、ですか…?」

一部だけしか言ってないせいで君はよくわからないと首をかしげた

そして可愛いらしく何が届かないんですか?、と心配がちに聞いてくる

「手の届く範囲に置いている筈なのに何故か遠いんですよ」

「そうなんですか?」

「はい。困ったものです…ど
うしたらいいのやら」

少しわざと落ち込んだように溜め息を付けば君は更に心配するように少し慌て始めた

…全く、何をしても可愛いものですね…貴方って人は

「む、骸…私に出来る事なら言って下さい…っだからそんなに気を落とさずに…」

「…では、此方に来ていただけますか?」

「あ…はい」

キョトンとした後僕に数歩歩みより、等々僕の手の届く範囲まで距離は縮んだ

腕を目一杯伸ばし、ギュッと抱き締めれば君は何ともまぁ可愛いらしい反応をするわけで

「むっ、骸様…ッ!?」

「このまま…少しの間だけ、宜しいですか?」

「骸様が望むのなら…どうぞ」

大人しくなった君。
にこり、と僕が微笑んだ。


抱き締めた君から匂うのは甘い香りではなく、鉄臭いあの薫り
とても身近にあるあの緋

君越しに見える屍は僕達を祝福しているようです











君は僕の手の届く所にいればいい、そう言えば彼女は小さく微笑んだような気がした


僕と深く堕ちて下さい。
僕だけの

堕ちた天使様
(あぁ、その様はとても美しい)

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あきゅろす。
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