大人になんか、(サソリ夢)
「サソリさん、私大人になんかなりたくないです」
「はぁ…?」
任務が終わり、一休みと岩の上で休憩している俺とお前
俺の隣で足を軽くパタパタさせながら小さく呟いた言葉に、自分でも間抜けな声を出してしまった
「何言ってんだお前?」
「私、子供のままでいいです…」
「成長する事はいいんじゃねーのか?」
「いえ、私は大人になりたくありません!」
頑固に言うな…お前は色んな意味でもっと成長しろよ
…って俺は親父かよ
「なんで成長したくねーんだよ」
「サソリさんを置いていきそうで嫌です…」
それに老けるんですから…、と小さく言った言葉に俺はあぁ、と納得した
俺より年とるのが嫌なだけか…
「お前も傀儡になりゃいいじゃねーか…なんならやってやろうか?」
「い、いえ…そういうわけじゃなくて…その、」
なんだよ、それじゃねーのかよ
他に何があんだ…
「この気持ちがいつか変わりそうで嫌、なんです…」
「気持ち?」
傀儡になった俺には関係ないことだな
「はい…私はこのまま自然と成長していずれ大人になります。…でも、サソリさんはあの頃から時間が止まったままで…そ、そのー…」
そこで言葉が詰まったのか、どう言うか分からなくなり言葉を探す
なるほど、な…そういうわけか
俺はお前が見えないように喉の奥で笑い、お前と向き合うようにし、頬に手を添えた
「俺は確かにあの頃からこの体は止まった…だけどな、俺も成長してんだ」
「サソリさんも成長してるんですか…?」
「あぁ…だからお前も成長しろ、な?」
お前は俺の二の舞になんかなるなよ…
「…はい。では、私頑張って成長します!」
「よし、じゃあ次の任務行くか」
「はいっ!」
大人になんか、
(サソリさん!)
(あぁ?)
(大好きです!そして立派な大人になってみせます!)
(…っ//)
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