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Present Novel
恋色とレイン



背の高い彼が前に
立つと光が遮断されて
よく見えない。





彼の表情も
見ることができない。






「お前はなんで







そんなに恥ずかしいことを
サラっと言うことが出来る」





これは私に対しての
質問?






「好きだからでしょう」







静かだった雨の音が
急に強くなった。






雷が私の後ろで鳴った。
光が差し込む。






彼の瞳が目に入る。







黒ではなく
オレンジだった。






「やはり、好きなのか」







「はい」







「俺もあと少しで…」







そんな時、私の降りる駅に着いたアナウンスが流れる。





私が彼のセリフを
待っていると彼は小さく
呟いた。





「お前の駅、だろう」







「え、でも今なんて…」







「明日、またこの電車に
乗ってくれば言ってやる」





「それって‥‥」







「また、明日」







そう言って彼は
また目蓋を閉じた。






私が駅に降りても
彼の方を向くと




すでに彼はイヤホンを
付けていた。


自惚れだろうか、



彼の次のセリフが
分かってしまったかも
しれない。





彼の低い声で紡ぎだされる
私の待ち望むセリフを
少し自惚れてみようか。





あと少しで君を



好きになるよ。





END.



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