中編
その7
肌のぶつかり合う音がする。
「う・・・ああん・・・ん・・・」
獣の姿勢で穿たれている方からは、低い喘ぎが漏れ続ける。
「いあああああ!!!」
一瞬硬直した後、白濁を飛ばし脱力すれば、まだ勢いのある男性器が後腔から抜けて中出しされた精液が零れ落ちた。
「気持ち良いか?」
圧し掛かっていた方、王は厭らしい笑みを浮かべるとセインの髪を鷲掴みにして顔を持ち上げる。
「舐めろ」
言われて、セインはのろのろと王の股間に顔を埋める。今まで自分の中に入っていたモノには、王の精液と己が腸液に塗れ吐き気を誘う。けれど、立場上セインに拒否はできなかった。
濡れた音が響き、王は嘆息する。
「巧いだろう」
そんな訳はない。が、抗えない。
「さあ、もう一度」
充分に硬度を取り戻したところで言われ、セインは赤面しながら口を離し、猛ったモノに跨った。一度息を飲み、観念したように自ら腰を降ろせば、侵入してくる硬い男性器。
「う・・・あん・・・」
力が・・・入らない。
「あ・・・あ・・・」
「漏らしたな」
満足気に王はセインのそこを凝視する。
セインは、行為前に厠に行くのを許されていない。力が抜け、中から前立腺を嬲られまくった身では耐えようもなく、いつもセインは失禁してしまう。それに慣れる事が出来ず、羞恥に頬を染める様は王の欲を煽るばかりである。
「逝け」
深く咥えこんだまま動き出せば、セインは正気を飛ばす。すでに出すモノはなく、空イキし続けるしかない。
「あ・あ・あ」
無意識に腰を振り、歓喜で涎を零すセインを、王は抱き締める。
「私のモノだ」
縋って来る、引き締まった若い身体。
「私だけのモノだ」
王の呟きは、狂気を孕む。
最初の一年は、好き勝手に嬲られた。一対一の交わりは、むしろ少なかった。
次の半年は、個々で交わる様になった。今まで終われば汚れたまま捨て置かれたのが、気を失って気が付くと身を清められている事が多く、寝台で事に及ぶ事も増えた。
次の半年で、相手は王と宰相のみとなった。第二王子は婚姻し、女性しかいない他国へ婿養子に入ったのだと聞いた。第一王子は戦地に趣いたきりだという。この巨大な国は肥大する努力を惜しまないままだと、セインは思った。
そして、今・・・セインを抱くのは王だけとなった。
宰相は病で急逝したと伝え聞いた。その前日もセインを抱いたのにと思うと、切なさを感じた。本当に若すぎる死に、己を蹂躙していた相手ではあるが、セインは黙祷を奉げた。
廻る廻る、人の命。
廻れ廻れ、戀心。
廻してみせよう・・・この国で。
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