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中編
愛のままに我儘に僕は
「すっごい気味の悪い事になっているんだけれど」
 僕、高村鈴鹿は超絶美形生徒会長に、苦情を言う。
「何が、だ?」
「ホスト、綺羅を見る目が甘ったるすぎ。誕生日の日に何があったの?」
「?セックスした。付き合わせて悪かったし」
 綺羅の躊躇しない物言いに、生徒会室にいた三人の役員の手が止まる。赤裸々過ぎて、まずいかも。
「あのさ、すっごい甘い空気だよ、あっちは」
 綺羅は全く変わりないけどさ。
「ああ?鈴鹿が、俺様が一人でいると不安だって言うから、ずーとべたべたしていただけだ。一日潰させるんだ。悪いから、何でも言う通りにさせてやったが」
 これは、聞いて良い事なのかな?
「何させたの?」
「正常位で抱きついてほしいとか、俺様からキスしてほしいとか、だな。そう言えば、可愛いとかほざいてたな、目が悪いんだな」
 うんうんと頷く綺羅。
 ・・・甘い。それは、くるだろうね。好きな相手との初めての合意エッチか・・・。49日、行かなきゃ良かった・・・。
「目は悪くないよ。綺羅さ、理事長にも同じ事言って半泣きで否定されたのに、またあ・・・」
 ここで、会計様が立ち上がる。
「綺羅は、誰が一番好きなのかなあ」
「鈴鹿」
 会計様も、呼び捨てだね、最近。
 僕の名前を間髪入れずに言われて、ぐっと詰まっている。が、それでも何か言おうとするようだ。強いね。
「高村ちゃん以外でえ。俺達と、理事長と、西條ちゃんの中では誰が一番かなあとか?」
「・・・東雲」
 綺羅の答えに、書記様が真っ赤になって顔を上げた。
「綺羅、理由言った方が良いよ」
 書記様が綺羅のお気に入りなのは、僕は知っている。ただ、理由がねえ。
「上から呼んでも東雲東。下から呼んでも東雲東だから、な。凄い」
 綺羅は、『山本山の海苔』のCMを何かの特番で見てから、山本山の海苔が大好物になったんだよね。上から呼んでも山本山、下から呼んでも山本山っていう、あれ・・・。その乗りだよ。そう言えば、昔永谷園のファミレスに入って、お茶漬けを食べるんだーって、夢見てたよね。セレブな綺羅は、結局機会がなくて行った事なかったよね。僕も、永谷園のファミレスにはお茶漬けないって言いそびれたな。綺羅ったら、全てのメニューにお茶漬けが付いてると思っていたんだ。
「名前・・・?」
 あ、がっくりしている。
「名前かあ!綺羅、そうじゃなくて、性格とか、顔とかで言おうよ〜」
「名前のどこが悪い?俺様は、東雲の名前が大好きだ。こんなに凄い名前を付けた、ご両親を尊敬する。だから、東雲自身も好ましい。どこが悪い?それに、おまえと副より性格も優しいだろう?」
 がたんと書記様が立ち上がる。真っ赤なまま・・・。
「・・・タラシ」
 僕はぼそりと呟いた。
 落ち込む他の2人を余所に、書記様は、綺羅の目の前に立つと、
「友達から・・・」
と手を差し出した。綺羅は、訳も分からずその手を握ったのだった。



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あきゅろす。
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