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愛の嵐
宮城の被災地様リク ほのぼのな話
「サイラのお誕生日なのお」
「サイラは、お誕生日に欲しい物があないのお」
「「でも・・・凱をあげれば喜ぶと思う」」
 コマとレマは、にっこり悪だくみ。

「どういう事だ・・・」
 凱は、目覚めて唖然とした。見た事もない、砂漠のオアシスに簡易宿泊の施設があるだけの、場所。
「おまえが先に消えて、追って来たんだ」
 サイラは、転移の腕輪をかざす。
「天国からコマレマにも贈られた品を、ここで使うとは・・・。てっきり花国の感謝祭にでも使うかと思ったが・・・」
 と、ここで、サイラは凱の側に落ちていたカードに気が付いた。それを読んで笑みを零すサイラに、凱も覗き込んで、身体から力を抜いた。
「来い」
 言うと、布を集めて休める様に設えられた場所で、凱は己の膝を叩く。
「どういうことだ?」
「・・・聞くな」
 真っ赤になって、凱が目を反らす。サイラは微笑むと、凱の膝の上に身を横たえた。らしくもない穏やかな時間に、サイラは程なく寝息をたて出す。
「疲れているなら、悪戯しなきゃ、たまにはこうしてやっても良いのによ」
 カードには、『誕生日おめでとう、サイラ』と、書かれていた。
 凱だって、ここ数日、サイラが寝る間も惜しんで働いていたのを知っている。なのに、やつれ果てても、後宮には行き、凱も抱く。普通なら、出来ないであろうに、サイラは王になったせいで性欲が制御できない為、飢えようが、眠かろうが、まず交情を優先せざる負えない。サイラのやつれ様に、コマとレマが画策した事に、のってやろうと思う。
「どうせ・・・起きたら、ヤラれるんだ。今日は、嫌がらないでやる。だから、ゆっくり休めよ、変態王め・・・」
 聞こえていないだろうに、優しく髪を梳きながら言う。砂漠に出る事も多いサイラの髪は、王宮にいる時は手入れされようとも、日差しで傷んでいる。指通りは悪い。
「起きたら、水浴びしようぜ。俺様が、櫛、梳ってやるから・・・。この贅沢モノ・・・」
 寝息は、規則正しく、完全に脱力している。
「男の膝で、熟睡するなよ・・・」
 サイラは、用心深い。が、安心しきって眠っている。
 凱は、サイラを膝枕したまま眠ってしまい、膝の感覚がなくなって、這いずり回る事になる。
 それを見て、サイラは屈託なく笑った。
 ある年の、砂王、サイラの誕生日。
 
 そして・・・今は亡きレイラの、誕生日。

 天国に近いその地には、赤の大輪の花に白い花が添えられて、供えられる。砂王サイラの治世が続く限り。
 花を贈ろう。
 尊敬する、姉の為に・・・。
 花を贈ろう。
 ただ人であった・・・情けない気弱な男の為に・・・。
 狂気に全てを失う、その日まで・・・。

「サイラ、早くしないと、洗ってやらねえ!」
 珍しく優しい凱の様子に苦笑しながら、双子からの贈り物に、感謝をする。
 それは・・・幸せなある日の出来事。

 

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あきゅろす。
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