愛の嵐 告白 「おまえ・・・性格わりいなあ」 トークンは呆れながら、歩み出る。 「貴方に言われたくないですよ、トークン殿。シュネ殿、聖婚対象者が術中に滅んだ場合、対象者変更は基本できないです!ただし・・・聖婚が正式な形でなかった為に、一か八かで入れ替えができるかもしれません!」 最初の術の発動から、歪んでいた。聖婚対象者を、確実に術に組み込めない程に。 「凱殿・・・。死ぬの覚悟で、貴方が聖婚対象者に成り代わる」 「無理!失敗したら、凱が死ぬ!!」 有り得ない提案に、シュネが叫ぶ。 「分かっていないようですね。凱殿はサイラ様の居ない世界で生きていけませんから、これこそ良い判断です」 自信満々にセリエが告げる言葉に、凱は決める。 「いらん!凱!来るな!」 事態を察して、サイラが叫ぶ。 「サイラ・・・。俺は、おまえが受け入れてくれないなら、この場で命を絶つ」 汚されようが死のうとはしなかったが、今回は本気で自決する覚悟がある。凱の決心に、サイラは愕然とする。 「おまえを助けるのは、俺だ。この役目を、誰にも譲れない。おまえが俺のモノにならないでも、俺はおまえのモノだ。だから・・・おまえのいない世界では生きられない」 それが凱の決意。 「愛している・・・サイラ」 告白にサイラは凍りつき・・・笑い出した。 「まったく、おまえは・・・。俺の立場がないだろう?だが、そうだな・・・そんなおまえだからこそ、惚れた。凱・・・俺が頭を垂れて願おう。俺の伴侶となり、狂気に彩られし時まで傍に居てくれ。おまえを抱かない為に、去勢してもかまわん。だから・・・」 戒められているから動きは制限されるが、サイラはそうでなくばその場に身を投げ出して懇願したかもしれない。 それほどに、惚れた。 凱はといえば、一瞬呆気にとられ、次に艶やかに笑った。 サイラは凱の身体が癒えたのを知らない。 「本当に、語らなければいけない事ばかりだ。本当に・・・」 閨で野獣の王はそれを曲げ、男としての矜持も捨て去る覚悟で懇願した。 凱は本当の事を告げる時を思い、意地悪く忍び笑いを漏らしながら、シュネに振り向く。 「さあ、シュネ。気に病まないでくれ。たとえどんなに困難でも、何があろうとも、俺の伴侶はサイラしかいないんだから」 シュネは蒼ざめつつ、凱の決意に頷いたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |