逃走中
魔法使いの本気4
馬鹿ばかりだ。
この世界にはたくさんの雌がいる。
確かにコロニーは確立できないかもしれない。
けれど、雌を侍らせこの世界を統べるも・・・できるだろう?
それは・・・ワンと呼ばれた。
「いくらでも雌を用意しましょう」
ワンと契約した者この世界に居た。
その女・・・。
「ファイアーナイトなどと、戯言を」
炯々と光る瞳。
「おまえをそんな愚か者に育てた覚えはなくてよ・・・一夜」
女はどことなく、一夜に似ていた。
名を、佐藤美薗(さとうみその)。
ファイアーナイト、佐藤一夜の母親である。
「という訳で、俺の母親があっちの味方についちゃたんだよね」
一夜のあっけらかんとした物言いに、テンは顔色を変える。
「ワンは、俺達の中で一番位が低い。が、戦闘力は強いぞ。おまえと同じ様に変身もできる」
アントの中でも繁殖に関わる雄は10体。コロニーの多くに個体は雌雄の別もなく、思考力も弱い。女王イーリアと、そのスペア用の雌個体、ただしこれはイーリア死亡後その身を文字どうり喰らわなければ雌としての機能をイーリアより奪えない。テンを含む10体の雄はその能力差はあるが、繁殖という一点では劣るもののワンは戦闘力がケタ違いだった。
「変身、ねえ」
一夜はべろりと唇を舐める。
「上等」
闘いの前には収めないと、ね。そう言われてテンがベッドに拉致される5分前の会話。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!