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短編
物語7(中年×会長)
「淫乱な豚には、これを入れてあげる」
 歪む視界の中、ニタニタと笑う北斗。
「さあ、ケツマンふって、狂えよ、淫乱豚」
 傷ついた後腔に挿入される液体。痛みに恭一郎は呻く。
「お兄ちゃん・・・」
 朦朧とする意識の中、思い浮かんだのは・・・。
「あ?そうだよ、北斗お兄ちゃんだよ!」
 喜色満面の北斗の事など、もう視界には入らない。
 思い浮かべるのは、幼き頃抱きしめてくれた人。
 温かな腕の中、転寝するのが大好きだった。大きくなるにつれて、距離を置かれるのが哀しくひねくれもした。
 分かっている。
 優秀な九狼は、ただ庶子だというだけで恭一郎の補佐にならざる得ない。それが不条理だと思って、昔の様に恭一郎を愛してくれなくなったのだろう。物事が分かってくるに従い、見えてきた各々の立場は、恭一郎の心に影を落とす。
 本当は、神埼の当主の座など、いらない。もし、九狼が以前のように弟として甘やかして抱き締めてくれるなら、恭一郎は喜んでそれを差し出したろう。けれど、慇懃無礼な九狼の態度に、それは言えなくなった。九狼は、恭一郎が次期当主でなくなれば、見向きもしなくなるかもしれないから、だ。
 違うのに。
 恭一郎の誤解は、増長する。九狼が、本当は恭一郎を愛しすぎている事など、分かる訳もないからだ。
 荒れて、苦しんで・・・。
 でも、こんな状況だから、思い出すのは大好きな人。
「お兄ちゃん」
 これが、九狼にされるなら良かったのに。
 その思考を最後に、恭一郎の理性は崩れた。

「もっと・・・もっとおおおお!!」
 恭一郎は、自分で傷だらけの後腔に入ったバイブを、抜き差しする。
 気持ち良い。ただ、それだけ・・・。
 北斗は持久力もなく、性技にも欠ける。故に、人格崩壊さえ起こしかねない強力な薬を非合法で手に入れ、恭一郎に惜しみなく使う。
 理性が壊れる。
「お兄ちゃん、九狼お兄ちゃんん!」
 恭一郎は、理性が崩れたからこそ、本当に望む相手を口にする。
「あ!九狼?あの無礼なやつ!恭一郎!このド淫乱!実の兄貴とできてたのかよ!この豚!この豚!」
 殴打され、傷だらけの後腔入ったバイブを、足で蹴り上げる。
「・・・!!!!!」
 恭一郎は、失神した。
「あ・・・れ・・・?」
 北斗は、気が付く。
「嘘・・・どうしよう・・・嘘・・・」
 バイブを伝って落ちる血の量が尋常ではなくなり、恭一郎の顔はみるみる蒼ざめていく。
 血生臭いその中で気を失う恭一郎を・・・北斗はそのままにして逃げ出した。
 

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あきゅろす。
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