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短編
鬼神遊戯8
「わらわの夫は、魑魅魍魎を従えし鬼の長。それが、桃山家の忌み子に魅かれ、人間に従属した。半陰陽であるが故、生きながら亡き者とされていた桃山家の長子。桃山家の人間は転生しようともその魂を探し出して、夫に差し出すと約束して加護を得た。桃山の忌み子が、おまえの昔よ。死しても何度も贄としてささげられ続けた」
 鬼姫は、どうやってか学園に入り込み、餓鬼とかした凪に生きながら臓腑を喰われる出雲に語りかける。
「どうじゃ?死して転生し、男になろうと女になろうと桃山の者に見つけ出され、隷属故に正気の飛んだ鬼に犯される気分は?犬神、桃山の当主は何代にも渡りそうしてきた。猿島はのう・・・おまえに惚れているのだよ。代々の長がおまえへの恋心を幼き日より植え付ける。そして、憐れにも我が夫に犯され続けるおまえを救う為に、対立するを選んだ。健気よのう」
 面白げに鬼姫は笑う。
「わらわは人として転生した故、おまえを喰いとうもない。しかし、餓鬼と化した者に貪り喰われれば、転生の輪からは外れ、無になる。人であるにも関わらず畜生道に堕ちた者に喰われればな。我らより、余程、恐ろしかろう?転生の連鎖さえ断ち切る、おぞましい怪物には人しかなれぬ。ほほほほ・・・。餓鬼になるには性根が腐りきるか、誰にも愛されぬまま供養もされずに捨て置かれた水子か、赤子だけよ。又は、生者のうちに共食いに身を染めた者かの?餓鬼化するには制約がある。この者が餓鬼になって、実はわらわは驚いた。共食いはないであろうから、性根が腐りきっているのだろうよ」
 餓鬼には、誰でも転じられる訳もなく制約がある故、出雲を害するに今まで使えなかった。他の餓鬼達、赤子や水子の果ては鬼姫の管轄外に居る。
「安心しいや。お供に猿島が付くそうよ。転生の輪から外れ、共に無に帰すも厭わぬそうだ。おまえの次に自ら餓鬼に喰われたいと、よ。何と、誑かしたものよの」
 出雲の応えはない。
「さあ、心の臓を喰ろうてやれ」
 餓鬼は、歓喜に奇声を上げ大きく口を開いた。

「無理さあねえ」
『まったくもって』
「鬼姫様、それはいかんさあねえ」
『まったくもって』

 凪が悲鳴を上げた。見えない拳で殴られ無様に転がる。
「何?」
 鬼姫の目の前に立つ者。
 出雲は歪む視界の中その姿を認め名を呼ぼうとするも、すでに言葉を発しる余力はなかった。
「お久しゅうございます、鬼姫様」
『まったくもって、お久しゅう』
 へらりと笑うは、整った容姿ではあるが軽い印象を与える男。
 生徒会会計である。

 ほげあほげあほげあ・・・。
 びええええん、びえええん・・・。
 きゃふうう、きゃふうう・・・。


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あきゅろす。
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