短編
鬼神遊戯6
「ほほほほ・・・」
鬼姫は笑う。
「愚かなり・・・。愚かなり・・・。この鬼姫の怒りを買うか?」
鬼姫は笑う。
「愚か者は、罰してやろう。わらわの夫をその淫らな身体で堕落させた罪は重い。まずは・・・おまえの想い人を使おう。のう?」
鬼姫の言葉に、にこりと笑うは顔にひどい傷を作った、転校生凪である。
「そうだ罰するんだ。みんな俺のものなのに、俺は愛されるべきなのに・・・出雲が身体を使ったんだろう?どうりで最近みんなが冷たかった」
凪の瞳には狂気が宿っている。
「俺のものなのに・・・」
「そうだのう・・・おまえのものよ、子供。けれど、あの淫売がいれば皆離れて行く。おまえは独りになるぞ」
鬼姫の手に堕ちた凪は、元々の気性もあろうが容易く闇に染まる。
餓鬼。
決して満足する事のない餓えに惑わされる、鬼姫の眷族。
生きながら餓鬼道に導かれ、鬼姫の手に堕ちた凪は人のまま人でない者に変容した。
「ほほほほ・・・ほほほほ・・・」
愚かな子供の決心に、鬼姫の哄笑は止まらない。
鬼よ、この身が欲しいか?
そう言うと、その人は衣を脱いだ。
どうせ、子を成せぬ身よ。男とも女ともつかぬこの身を抱きたければ、私達の味方になって欲しい。
鬼神は、全てを捨ててもその人が欲しかった。
人に仕えるなど、鬼にとっては屈辱。けれど、それさえ厭わぬほどに、魅かれないではいられない。
転生しても、見つけ出してみせますよ、鬼神様?
にっこりと言うは、宿敵の子供。
鬼神が力で御せぬと悟り、その人を差し出したのだ。
美しいでしょう?男になろうと、女になろうと、どうせ異形の交わり、さあ、契約をしましょう。
桃山家の次期当主は、笑う。
さあ、私の兄であり姉であるこの人を、転生すれども贄として差し出しますよ。子も成せぬ長子が役に立つとはねえ。
それが・・・始まり。
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