[携帯モード] [URL送信]

短編
俺様彼氏・・・機能停止
 扉が開いて・・・銀河が帰って来て・・・。
「覚えてねえ・・・。何も・・・」
 俺以外との情事の痕を残す、銀河の身体。
 どーいうこと?
「覚えてはいねえけれど・・・でも・・・とても・・・苦しかった」
 そう言って倒れた銀河は、再起動しても動かなかった。

 UKコーポレーションに、急いで搬送された銀河を、本社の一室で待っている間、ぼんやりしていた俺は、目の前に立った女性にしばらく気が付かなかった。
「あ・・・、どうも」
 俺が、慌てて立ち上がり会釈すると、女性はにっこり微笑んだ。40歳前後の頭の良さそうな、女性。首から下がったIDカードの名前は、鳳凰院(ほうおういん)・・・。
 このUKコーポレーションの創業者一族の名字ですねーーー!!!
 俺は、ついその場で地べたに平伏した。うん、俗にいう土下座。
「あらあら・・・緊張しないで・・・。あ、そうか・・・名字。初めまして、銀河の開発主任の鳳凰院玲子(ほうおういんれいこ)です」
 そう言って、女性、玲子さんは優しく微笑んだ。
「鳳凰院の一族だけれど、女だてらに髪振り乱して研究、研究って言っている、変わり者よ。気にしないで?」
「はい、ありがとうございます」
 俺は、立ち上がった。
 この人が・・・銀河の・・・あのエロさの生みの親・・・。意外・・・。
「銀河は・・・誰と・・・」
「さあ?バグったみたい。まあ、試験段階だもの。色々あるわ。あ・・・他の手垢の付いたのは嫌?あ・・・モニター嫌?」
「嫌っていうのではないけれど・・・。銀河は・・・」
 このモヤモヤする感じ・・・。ああ・・・そうか・・・。
「俺・・・銀河が好きです・・・」
 俺の独り言めいた言葉に・・・玲子さんが目を見開いた・・・。
「う・・・そ・・・・」
「本当です・・・。ああ・・・俺・・・モヤモヤしているの妬いてるんだ・・・。銀河が好きだから」
 傲岸不遜な・・・俺様セクサロイドを・・・。
「銀河は・・・人間じゃないのよ・・・。プログラムで動いている、物よ」
「・・・分かりません・・・。でも、俺は・・・」
 玲子さんが痛ましそうな顔になる・・・。
「ごめんなさい・・・」
「え・・・?」
「この年頃の男の子だもの。性欲発散の玩具って、割り切って楽しめると思っていたの。しかも・・・あの学園生。まさか・・・銀河に・・・。ああ・・・でも、銀河はあの子のコピーだもの・・・魅力があって当然・・・」
「あの子?」
 訝しげな俺に、玲子さんは頷いた。
「貴方は・・・私に利用されたの・・・。私の銀河を・・・私の元に帰す為・・・」
 俺は、訳が分からず玲子さんを見上げる。
 と、ここで・・・玲子さんの携帯が鳴った。
「はい・・・そう・・・分かったわ・・・」
 玲子さんは、変な顔で笑った。携帯を切って、俺の方を見たその顔は・・・蒼ざめていた。
「貴方・・・銀河の真実を教えてあげる。来なさい。銀河は・・・ただのセクサロイドじゃないの・・・」
 玲子さんは、俺の手を取った。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!