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短編
鬼神遊戯4・・・鬼姫降臨(18禁)
 猿島哲也(さしまてつや)は、自分の目の前で、倒れ伏す金髪の少年の頭を、踏みつけた。
「温いな・・・。族潰しを名乗るには、軟すぎる。ねえ・・・」
 チーム鬼夜叉は、走りを主体とする、けれど、いざ抗争ともなれば、県下でもトップクラスだ。
「ほほほ・・・・」
 笑う声は、高い。
 腰まである黒髪黒眼の、制服姿の少女がいる。
「これが、鬼神の贄の思い人かえ・・・」
 ゆうるりと立ち上がる少女。
「おまえ・・・は?」
 学園に転校し出雲の好かれた族潰し、凪は、目を細める少女を見上げ・・・顔面を踏みつけられた。ぐじょりという音。転校生の顔面は陥没し、悲鳴さえ上げられなくなる。
「わらわは鬼姫。跪け、下郎」
 少女の月明かりに浮かび上がる影には、頭頂部に角が生えていた。

「こわい、こわい」
 男は、くすくすと笑う。
「鬼姫様は、転生してまで、自分の夫を取り戻しに来たか・・・。鬼神様は、今はあの出雲に夢中だ。どうする?殺すか?女は、人も鬼も、こわいこわい・・・」
 男は、情報屋だ。黒い丸いサングラスの奥の瞳は見えないが、皮肉気に歪められた口元は整っている。
 名を、鳥取信也(とっとりしんや)という。
「鬼神を取り戻すには、契約を無効にしなければならない。鬼神を現世に呼び出すには、生贄が必要。現世に呼び出した鬼神を契約から解き放つには、生贄の・・・死が必要。桃山太一郎・・・守れるか、出雲を。鬼姫は、生贄の思い人を手に入れたぞ」
 信也の1人語りに、動く影。
 犬山右近。
「犬、太一郎に付くか?猿は、鬼姫に付く。五分五分どころか、守る方が困難を極めるは道理。初代の忠誠をそのまま継ぐは、名のとうりすぎる・・・」
 信也は、面白そうにクックと笑う。
 鬼神と契約した初代の桃山家当主は、お供に三人の部下を伴っていた。字名を、犬神、猿島、鳥取。長い歴史の中で、桃山の家に仕え続けるは、犬神家のみ。猿島家は、敵対し、鳥取家はその時代によって、どちらにも付く。
「鳥、愉快犯もいいが、一度ぐらい命を掛けるものがあるのも良いものだ」
 珍しく、右近が笑う。
「それに今生の生贄は・・・美しいぞ」
「ほう・・・?」
 信也は、携帯に保存してあった出雲の写真を出してみる。
「確かに良い男だが・・・」
「・・・鳥、写真では分かるまいよ。鬼神に犯され、快楽に狂う出雲様は・・・世界で一番美しい。私は、あの方の為に生きる。それこそ・・・私の喜び。生きがい」
「惚れたか、犬よ」
 右近は、頷く。その股間は、出雲の痴態を思ってか隆起している。
「惚れた。鬼神様のものである、あの方に。鬼神様に犯されるからこそ、惚れた」
「あまりにも・・・不毛だ。犬よ」
「しかし、それこそが、俺の幸福だ」
「犬よ・・・その心・・・おまえもこわいよ。こわいこわい・・・」
「知っているよ、鳥」
 右近は、立ち上がる。
「帰るかい?」
「ああ・・・今宵も、鬼神様は出雲様の元に訪れる。その身を喰う前に、慣らしてさしあげなければ・・・。鬼神様は降臨と共に、あの方を喰うに我慢が効かない」
「役得かい?犬よ」
「ああ・・・望外の幸せだ。今宵もまた、犯され狂うあの方が見える」
 そう言う右近の目は・・・狂った色に燃えていた・・・。

「本当に・・・どいつもこいつも・・・こわいこわい」

 

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あきゅろす。
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