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短編
鬼神遊戯3(18禁)
 篠宮家の現当主には、子供がいない。次期当主には、現当主の弟の子供が候補に挙がっている。
「鬼神様の、贄ならば、文句なく次代の当主は出雲に・・・」
 篠宮家当主は、そう言うと、にこやかに微笑んだ。

「鬼神様の事は、結構有名なのですよ。まあ、どの家でも当主格の者しか知らない、口伝の事柄ですが」
 出雲の手をベッドに縫い付けながら、太一郎はにこやかに言う。出雲は、涙を湛えた瞳で唇を噛みしめていた。
「おい・・・、準備できた」
 出雲の下半身を押さえつけて嬲っていた、もう一人の人物が、顔を上げる。犬神右近(いぬがみうこん)、生徒会書記の彼は、ローションに塗れた手を拭いながら、立ち上がった。
「会長様が、もったいぶるから、鬼神様が我慢の限界です。いきなり入れられたら壊れちゃうでしょう。きちんと準備できましたよ、良かったですね」
 太一郎の力は、人間のそれではない。細腕に似合わぬ怪力は、鬼神の影響によるもので、出雲の抗えるものでもない。それに、右近は、武術の達人で、並より体躯に恵まれた出雲でも、この2人相手では、どうにもならなかった。
「鬼神様、どうぞ、召しあがって下さい」
 本家の当主に、無理矢理閉じ込められた屋敷で、意に沿わぬ行為を強いられる出雲の目から流れる涙は、悔し涙だった。
 太一郎の影が実像を生む。
『喰わせろ』
 鬼神は、動けない出雲の身体に躊躇なく性器を捩じ込む。
「くうあああ・・・」
 出雲の悲鳴には色が滲む。鬼神との交わりは、苦痛と快楽を与える。太一郎に取り押さえられている掌が何度も開閉し、足の指が開く。
『うまい・・・』
 鬼神が動き、体内に吐精される。人間のものより粘着質で量も多いそれは、にちゃにちゃと厭らしい音で出雲の耳を犯す。休む間もなく動く鬼神に、喘ぎながら翻弄される出雲から、太一郎は離れた。
「それ、処理して来なさいな」
 右近に太一郎は、言う。出雲の後ろの拡張とローションの注入をした右近は、股間を固くさせたまま、鬼神と出雲の交わりから目を反らしていなかった。
 右近と出雲は寝た事がない。と、いうより、転校生の取り巻きに名を連ねているものの、無口で武士といった風情の右近は、浮いた噂自体がない。むしろ、転校生の側に居る事に、違和感があった。
「では、何かあったらお呼び下さい、太一郎様」
 一礼して下がる右近が、太一郎を様付けで呼ぶようになったのは、最近である。犬神家は、鬼神の加護を受けた桃山家に仕える家系である。つまりは、鬼神と契約できた当主にのみ仕える。前代の当主は鬼神に生贄を捧げられなかったので、関係が断たれており、今回の契約に伴い、犬神右近は、太一郎に仕える事になった。
 実際の処、転校生に魅かれていようが、一番とするべきは、鬼神の加護を受けた太一郎の事なのだ。太一郎自身、右近の本当の処になど、興味はない。まあ、朴念仁じみた右近が、出雲の欲情しているのは、おやとも思ったが・・・。
 鬼神は太一郎の影に住まうから、この場を辞することも叶わない。出雲の抑えた喘ぎが、濡れて扇情的に変わり、筋肉質な腹がさすがに出されたもので膨らんできても、太一郎の穏やかな笑みは崩れない。
『もっと・・・もっとだ』
 あまりにも焦らされ、鬼神は加減ができない。四つん這いになった出雲は、正気が飛んだ虚ろな顔で、歓喜に狂う。全身汗と精液に塗れ、口からは涎を零す。
「これに懲りたら、鬼神様とは小まめにね、出雲様」
 濃厚な性臭も、太一郎の心をかき乱さない。
 ただ、出雲が可愛くて、愛しいほどだ。
 出雲のおかげで、太一郎は、鬼神の力を得た。この交わりは、太一郎にとっては、聖なるもの。自分の欲が介在する余地はない。不能でもなく、出雲の色艶は、認めるが、それに感じる処はない。
「も・・・う・・・あ・・・逝く」
 溶けた瞳で、出すものもなく、終わりなき快楽に狂う。出雲の声に応える者は・・・・いない。
 

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あきゅろす。
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