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短編
鬼神遊戯2(18禁)
 室内に響くのは、濡れた音と低いバリトンの喘ぎ。
「い・・・ずも・・・」
 絡み合う二人のうち、タチ側の男が感極まって呻くように、呟く。
 生徒会長篠宮出雲は、自分を抱く副会長が果てたのを、体内への濡れた感触で知った。
 誘ったのは、出雲だ。転校生、凪に夢中の副会長に持て余した性欲処理に付き合ってやると、出雲が言った。セフレを切って、自分がネコをやってやるとの申し出に驚きはしたものの、ものは試しと副会長は誘いにのり・・・。
「あれー、副会長に先越された〜」
 会計が、入って来た。生徒会のカード以外に、入室には暗証番号が必要だ。会計が会長の部屋に入って来たという事は、彼もそれを知っているという事。つまりは・・・。
「会長〜、余力あったら、俺も入れたい〜」
「掻き出してねえぞ」
 会計も、出雲に誘われて何回も関係を持っている。それを、副会長も会計も知っている。
「良いよ〜、ローションいらないねえ」
 二人の視線が絡む。そこにあったのは嫉妬。
 二人は、いつの間にか、出雲に魅かれ出していた。性欲処理と誘われての関係が、本気になった。凪の事を好きではあるが、それ以上に出雲に魅かれている。けれど、それは出雲には言えていない。二人とも、ただ、その身体に溺れるしかできない。愛を語って、拒まれるのが怖かった。

「可愛い方だ・・・」
 太一郎は、呟く。
『喰いたい・・・、欲しい』
 鬼神の呟きは、日に日に大きくなる。
 鬼神との交わりには法則がある。生贄が鬼神にヤリ殺されないよう、古に決められた決まりごと。生贄の性欲が満ちている時は、鬼神は生贄を喰えない。
 つまりは、そういう事だ。
 もちろん、自慰やタチとしての性欲処理でも、効果はある。が、鬼神と交わった生贄に最も効果の良い処理は、やはり抱かれる事。出雲はそれを知ってから、鬼神との交わりを避ける為、プライドを捨てて淫売の真似事をしている。鬼神との交わりは、理性を跳ばすほどの快楽を、出雲に与える筈なのに、だ。
「鬼神様、僕も、出雲様を気に入りましたよ。まさか、ここまで可愛らしいとは・・・。鬼神様、大丈夫です。まもなく・・・必ず」
 出雲は、自分で命を絶つことはできない。鬼神の生贄は、生命力が上がる。自殺はまず成功せず、器官を損傷しそれでも生きる事になるだけだろう。
 鬼神に身を任せれば、極上の快楽に浸れる。それを拒む出雲は、太一郎には可愛らしく映る。
 でも、鬼神は限界だ。
 だから策を弄する。
 鬼神は、太一郎の神だから・・・。
 そして・・・鬼神の事は・・・他の者も知っている。

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