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短編
祝福のブルーリボン(15禁)脇役主人公ランキング様の企画参加作品
 異世界から召喚された勇者によって、妖魔王は倒された。黒髪に青い瞳の少女のごとき美貌の君に、民は喚起した。強く、賢く、優しい彼は、妖魔王を倒し、その力を封じる時、涙した。
「ごめんね」
 ああ偉大なる勇者よ。
 彼は元居た世界に戻ることも叶わず、生涯を賢王ライゼルに仕えた。宰相として側に有り、孤独な王に愛を与えた。
 妖魔王は城の最上階に幽閉された。力を封じられながらも、その異能の命が国を守る結界の要として使えたから。妖魔王はこれまでの罪の罰として、国を守る道具となった。

「で、どういうことだ」
 妖魔王は、自分の上に乗り、ニコニコとしながら服を脱がしている、男に尋ねた。
「なんだい?ハニー。これからやる事なんて決まっているだろう。愛する二人が初めて結ばれるんだ。初夜さ。ああ、怖がらないでくれ、きっと君を楽しませてあげるから」
 妖魔王はくらくらした。男は、金髪青い目で優しげな超絶美形、賢王ライゼルではないのか?こんな頭の沸いた話し方をする男が、勇者を召喚し自分の力を封じたのか?だいたい、王と同じぐらい身長もあり、筋肉も付いた人間から見ればかなりの美形らしいが強面の妖魔に、何をするというのか?
「落ち着け。俺は、おまえらが憎んでも余りある妖魔王だぞ。しかも、可愛気など全くない、この外見だ。嫌がらせならもっと自分にもダメージのない方法を取れ」
 ライゼルは、きょとんとした。
「何を言っているんだい?ハニー。君ほど魅惑的で美しい人は他に居ないさ。僕は昔っから君に夢中さ。初めて会ったのは、僕が12歳の時、君が南の砦を襲ったよね。血まみれの君に、メロメロだった。あの日の夜、君と結ばれる夢を見て、初めて夢精したんだ」
「ちょっと待て――!!おまえ、この国の王だろう!」
 妖魔は国の敵である。
「愛の前には、すべて無力さ、ハニー」
「もっと良い相手がいるだろう!男が良いとしても、勇者とか!勇者とか!勇者とか!」
「ははは、妬いてるのかい。可愛いよ。僕は、君以外には、愛は囁かないよ、天国へ行こうマイエンジェル。ああ良いにおいだ」
 クンクンとにおいを嗅ぐライゼルに、真っ青になる妖魔王。
「待て待て待て。俺は、ご免だ。他種族のしかもオスで、仇敵だった相手の慰みものになってたまるか!」
 ライゼルの顔を押し戻そうとする妖魔王。
 と、凄い力で体が夜具に押し付けられる。
「オスだから?メスなら良いの?冗談。逃がすわけないだろう。この為に、難しい召喚を命を掛けてやったんだ。近隣の国も、国内の有力者も、召喚に成功して妖魔王の力を封じるなら、その後は好きにして良いって言ったんだ。妹から後継ぎを養子縁組する手筈も取った。この為に、どれほど頑張ったか・・・。今更なしにできるもんか」
 力を封じられている身に、抗う術はない。
「初めてでも合意でしたかったけれど、しょうがない」
 ライゼルはリボンを取りだした。暴れる妖魔王の抵抗を封じ、ブルーのそれで両手首を縛る。そして、幸せそうに微笑んだ。
「いただきます」
 
 勇者は、思う。
 召喚された世界の王は、美形で賢く、優しく…変態だった。
 部屋中に飾られた妖魔王の絵姿、銀髪や爪などの戦闘地での残留物。等身大の抱き枕。
 勇者は嘆く。
 だって、脅されたのだ。妖魔王を連れてこなかったら、閨の相手にするぞって。妖魔王に、いつか使う日を夢見て誂えられたアダルディーな道具の数々を見せられながら。いや、見ただけで目が潰れそうな、一生使いたくない、汚されちゃったじゃ済まないぞ、変態さんこんにちはグッズ。
「ごめんね」
 だって、勇者は、自分の身が可愛かった。あんなもの使われるなんて、男としてというより、人間としてご免こうむりたい。いかに美形でも、無理無理無理。
  
 ライゼルは賢王である。
 唯一愛した人の前では、国一番の変態であろうとも

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