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短編
鬼神遊戯(18禁)
「凪、来てやったぞ」
 生徒会御一行が、やって来た。先頭には何様俺様出雲様の生徒会長様。そして、王道転校生凪(なぎ)は
「太一郎も、一緒に生徒会室に行こうぜ!」
と、見た目気弱そうな、中山太一郎(なかやまたいちろう)を誘った。
 太一郎は、溜め息をついた。周囲のやっかむ視線も罵倒も、机の落書きも、ゴミも、どうでも良い。
『早く、喰わせろ』
 太一郎にだけ聞こえる声を聞きながら、篠宮出雲(しのみやいずも)を見て、憐れみに満ちた表情を浮かべた。

「お前、いい加減凪に近づくな。迷惑だろう」
 出雲と2人きりの生徒会室で、忠告を受けた太一郎は、悲しげに眉を寄せた。
「鴨葱です」
「はあ?」
「昔、鬼が居ました。鬼退治に行った桃太郎は鬼に勝った代わりに、鬼の加護と呪いを受けました。鬼を使役できる代わりに、生贄を捧げる、と言う」
「貴様、何を・・・」
 怒鳴りつけようとした出雲は、太一郎の影に気が付いた。長く伸びるそれが、鬼の角を持ってゆうるりと動き出す。
「見ないよう、会わないよう、2人きりになんてならないよう、すっごい努力したんですよ。鬼の好みは煩くて、好みでないなら最低限の加護しかしてくれない代わりに、生贄もいらない。先代は生贄を捧げられなかった。僕もそれで良かった。綺麗な金髪、青い瞳。女は女らしく、男は男らしく、有り得ないほどの美形。日本に居たら、ほとんど接触しないで済む筈なのに・・・。ダブル?ハーフ?それでも有り得ない色合いですよね。ここまであいつの好み、なんて・・・」
 影は、出雲の身体に覆い被さる。それは実体になる。紅い長髪、紅い瞳。2メートルに届く体躯。顔立ちはむしろ整った美形。しかし、長く伸びた爪、頭には尖った角。
「鬼・・・」
 出雲の呟きに、にたりと笑うとそれは、襲いかかった。
『喰わせろ・・・』
 出雲の悲鳴は、防音の効いた室内で木霊するだけだった。
「どうぞ、鬼神様。止めても無駄でしょう。貴方様のお相手の名は篠宮出雲様です」
「止めさせろ!中山!」
 抗いも空しく、圧し掛かられ、服を裂かれる。足を拡げられ、出雲は蒼ざめた。
「まさ・・・か」
「鬼神様の『喰う』とは、生殖行為ですよ。とても気持ち良いそうです。鬼神様以外と寝れなくなるぐらいに・・・。僕は、貴方が抱かれる人とは思えなかった。だから、会いたくなかったのに・・・」
 太一郎は、目を瞑る。
 鬼は、出雲を組み敷いて、その身体を舐め回す。程なく、絶叫が響いた。
「契約完了です。鬼神様」
 捧げられた生贄の代わりに、鬼神の加護を受ける。
「会長様、僕の本当の名前は、桃山なんですよ」
 中山太一郎改め、桃山太一郎はそっと呟いた。 
 


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