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短編
裏切り王道 後
「では、親衛隊総会議を始めます」
 生徒会親衛隊の幹部による総会議の日が、今日である。
「まず、うちの動きですが、転校生に構いながらも、隊員のセフレとの交流も再開気味です。ただ、転校生所以で、平凡な容姿の子にも手を出しそうになるので、平凡な容姿の子はノンケが多いので、困ってます。どうにか色っぽい方向に行かないよう、苦労しています」
 チャラ男補佐の処の報告。
「うちは、仕事面での補佐がばれかけました。副会長様に気に入られたら、転校生の二の舞ですから。日常生活が崩壊しますし」
 副会長の親衛隊。
「うちは、転校生君のお陰で助かってますう。過激な子達があ、転校生君に構い倒してくれてえ、まだ慣れていなかった大人しい子達があ、固まって仲良くう、なりましたあ。過激派の子達のお、動向には注意してえ、他の子にまでえ、何かしないようにい、してますう」
 書記の親衛隊。
「当方も、悪ふざけの被害者が減って、助かっている。下の方の者は、転校生に構っているが」
 双子会計の親衛隊。
「騙し打ちで閨に引き込まれる者がいなくなった。タチっぽい者が好物だから、困っていたが、転校生様に感謝だ」
 小悪魔補佐の親衛隊。
「ご存知のように、うちは解散だ。けれど、再結成になった場合に、すぐに動けるようにはしている。どんなに気に入ったものでも、そのうち飽きる人だし、適当に生徒を摘まれては、ノンケだった時相手が可哀想だ」
 生徒会長親衛隊。
「さて、転校生君。君は我々の事を良く知りもしないで、非難しまくった。結果、留年だね。生徒会の方々は、成育歴と今後も特殊な立場で君臨する方々なので、感覚が一般と異なるのだよ。巻き込まれて苦しむ者が出ないように、調整してきたのが我々だ。将来、家や会社の為の結婚が決まっている彼らと、本気で恋愛してボロボロになる者が出ないよう、彼らのシンパで過激な者を監督するよう、我々は動いている。過激派の子達にも、権力がある者は多いから、まあ制裁でも軽いものは黙認し、強姦や暴行に至らないよう監視している。揉み消されたら、やられた方が哀れだろう。ちなみに、私は副会長様の遠縁で、家の者から頼まれて調整役として隊長をしている」
 穏やかな語りに、転校生の目から涙が零れる。
「最初にい、呼び出された時い、近づかないようにしないからあ、よ。まあ、平凡なあ自分があ美形を虜にしてぇ、調子い、のったあ?」
 書記の親衛隊隊長は、書記の家がやっている華道の幹部の子供である。
「僕は、会長様の婚約者の方に仕えています。下半身緩い会長様の、お目付ですね」
 会長親衛隊の隊長が溜め息をついた。
「気の毒だが、君はていの良い玩具だったようだ。悪気はないんだがね。彼らは認知していないが、お互いに友情を感じている。以前、うちの補佐が落第しかけた時、交代で勉強を教えたり、さぼらない様に声を掛けたりしてくれた。それがないあたり、軽すぎる思いだ」
 チャラ男補佐の隊長は、母親同士が親友という流れでなった。
「あの時は、双子もゲームどころじゃなく、補佐の分の仕事を髪を振り乱してやっていたな」
 勉強に集中させる為に、仕事を引き受けた双子の様子を笑いながら思い出す彼は、2人の父の秘書の息子だ。
「転校生君、このままここにいたら、どうなるか、わかるよね。彼らの感情も、考え方も、常人のそれじゃない。そして、彼らは、孤独じゃない。お互いが、自覚ないままの親友だ。はっきり言おう。最初に話を聞かなかったのは、君だ。ここまできたら、もうどうしようもない。取り巻き以外からは嫌われ、かといって、そこまで本気で思われている訳でもない。彼らが飽きたら終わりの関係をこのまま続けて、ボロボロになるのは君の方だ。君は気が付いたら、学歴も友人も、能力も失って、彼らは君の事など思い出しもせずに、上の学園に行く。それが、近い将来の姿だよ。重ねて言う。選びなさい。最初に違えたのは君だから、終わりも君が選ぶべきだ」
 小悪魔補佐の将来の義兄予定の男が、纏める。
 転校生は頷いて・・・・その足で学園を去った。

 裏切り者は、誰?













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