短編
裏切り王道 前
王道転校生がやって来て荒れに荒れた学園。それが沈静したのは、転校生が、去ったからだった。
「寂しいですねえ。彼がいなくなって」
「「寂しいーー」」
副会長の言葉に、同意する会計双子。
「最後に、何か言ってたな。裏切られたって」
俺様会長は、早く仕事を終わらせて、良い事がしたい御様子で張り切っている。セフレは、すぐに親衛隊がピックアップし直してくれた。
「ああー、出席があ、足りなかったんだってえー」
チャラ男補佐が言う。
「なんで・・・?」
寡黙書記が首を傾げる。
「ああ―寂しいなあ」
バリタチ小悪魔補佐その2.
生徒会室で過ごした王道転校生。立ち代わり2,3人ずついる彼らに疑問も持たず、また、基本、自分の事以外気が回らない役員達は、知らなかった。
総勢7人の大所帯ゆえに、選択授業の合間や、単位が足りそうな授業は、生徒会室で過ごしていた彼ら。面睦に計算されたさぼりの役員。考えなしに入り浸っていた転校生の話の聞かなさに、教師達はなす術もなく・・・。
留年決定・・・。
知った時に騒いだ転校生に、
「なんて良い子でしょう。留年してまで、私達といる時間を作ってくれて」
感動する、副会長。
「「留年ーーー!!じゃあ、僕達の後輩になるんだね――。可愛いーーー」」
ニコニコ双子。
「俺様、海外の大学に行くんだ。海外なら、そんなに留年も馬鹿にされないぞ。良かったな」
慰め方のおかしい会長。
「あ、俺ぇ、留年なんてしたらぁ、恥ずかしくって、ネエ。強いねえ、えらいねえ」
傷を抉る、補佐。
「大学、外部」
だから?の書記
「何で泣いてるの?」
ハンカチを差し出す、同じクラスなのに、留年するかもしれない転校生の現状に気が付かなかった、自分はきっちり必要分の授業に参加していた、小悪魔補佐。
言葉が通じない・・・。転校生は、そう思った。もともと平凡でやや強気なだけの子だ。留年はショックすぎる。伯父に言っても、
「私は雇われ理事長なんでね・・・。よりによって出席日数は、誤魔化せない」
全く役に立たなかった・・・。
そんな時、机の一角にあった走り書き。だいぶ、古いそれは、『親衛隊の隊長クラスに相談』と、書かれていた。
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