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短編
御奉仕編1
「特待生として歓迎するよ」
 そういった理事長の色気漂う顔に、俺は何の疑問も持たなかった。

 浮いている、と思う。
 俺ではなく、窓際の彼。
 柳良太郎(やなぎりょうたろう)。
 特進クラスの中、一人だけ金髪に近い茶髪。着崩した制服。俺も含めて真面目な生徒の中、ただ一人の異端児。でも、誰も注意も払わないし、そこにいるのが当り前な事がより違和感を奏でる。
 それに、俺が転校してすぐにテストが開始されたのだけれど、その間ずっとぼーとしていた。名前ぐらいは記入したかもしれないが、成績上位者のみの特進クラスの生徒が何故彼なのか?俺は疑問にしか思えなかった。転校したてですぐにテストのせいで、雑談する暇もなかったから疑問が解ける事はなかった。

「テストの結果が出た。まあまあだな。特に転校したての森下・・・5位だ。転校したてでの5位は凄いぞ。皆、うかうかしていられないな」
 テスト明けでそのまま連休に突入し、月曜のホームルームで告げられ、俺は軽く頭を垂れ・・・。
「ところで、これは何でしょう?」
 教室の中央に置かれたベッドについて、尋ねた。
「ああ、テスト期間は気が散るからな。いつもこれはここにあるんだ」
 確かに机同士のスペースが広いなあ、とは思った。ベッドがあるとむしろ狭いぐらいだ。
「一位は、委員長だ。さあ・・・」
 眼鏡の真面目そうな委員長と柳が立ち上がり、ベッドに近付いて・・・。
「え?え?え?」
 俺は状況が把握できずに、おろおろする。
 柳がベッドに押し倒されて、委員長が乱暴に口づけると低い、けれど甘い嬌声が上がった。


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あきゅろす。
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