短編 放置プレイ え? ああ神子の事について、でしたわよね。 神子を得ながら、何故かの国の王家は政権交代を余儀なくされたか、ですね。 それは、神子が神様の選んだ子、だからですわ。 つまり、その時、その国の有り様に相応しき者、が召喚されるのです。 王家、のためではなく、国の為、ですわ。 つまり、王家が国の為にならない場合、王家を滅ぼす神子が選ばれる。今回の場合はこれですわね。 慈愛もなく、傲慢で、思慮に欠ける、姿が整っていて、王家の方々を誘惑し堕落、まあもともと腐ってはいた様ですけれどもさせる存在。王家を、国から追い出し新しい執政者を擁立させる、そんな存在。 だって助かりましたでしょう? 一次的に混乱はしたかもしれませんが、今の方が治安も良く、税も軽い。まあ、新しい執政者の方々は、本当に大変そうですけれど、国自体があの当時より格段に良くなっていますもの。 そう、今回の神子は、正しくその役目を果たしましたの。 神子が気の毒? 別に性質を変えたりはしていませんのよ。つまり、神子の性質はもともとあのようなものでしたの。まあ、異世界ではあのような性質が普通なのでしたら、それはお気の毒ですけれども、さすがにそれはないでしょう。 口癖は、俺は皆に愛される、俺はおまえの事を分かっている、でしたわね。確かに容姿は少女めいて可愛かったですが、何もかも許される程の美貌でもないでしょう。 まあ、私のほうが美しい? 嬉しいですわ。 でも、かの国も王は、この顔を嫌いでしたの。神子の方が望ましいと。 別に、容姿でどうこう言われて拗ねる程の、幼さもないですけれどの、あのような性質の者に求愛する相手が夫である事は耐えがたかったです。離婚はできませんでしょ、そう簡単に。なにせ、私は王妃で夫は王。政略結婚だからこそ、難しかったですわ。でも、神子に誑かされた王の策略で無事に国を追放されて、今では長年の夢でした司書の職も得ました。 え?ここに来れて嬉しいのかって? もちろんですとも! 私、昔から本に囲まれて生きるのが夢でした。なのに、王妃。あの生活はつらく苦しかったです。まあ、王宮図書館の禁帯出の本を読めたのだけが、癒しでしたわ。 そうそう、この神子論は異端で、王室図書館の隅でほこりを被っていた書籍ですの。それはそうですわね。神子に滅ぼされるなどと、執政者達は認めたくもないでしょうし・・・。 ああ・・・その後の神子ですか? 殺すのはさすがにとなりまして、ええ、神子の有り様がそうならば、国の為になったのだからと。まあ、異端の書も、今回の神子の顛末で脚光を浴びましたから、ね。 で、幽閉ですわ。 高い、高い塔の上。 誰にも会えず、口も聞けず、三度の差し入れが機械的に放り込まれる。 死んでるか生きてるかも、分かりません。 まあ、時折、獣じみた声が、漏れてくるようで生きて入る、と。 神子論ですか? 最近、再版され今ではどこでも手に入りますが、ここにも置いてありますよ。 ただ、しばらく予約が満杯で、申し訳ありません。 神子の、人民による人民の為の放置。 [*前へ][次へ#] [戻る] |