武装天使
悪い子には、お仕置きです!
交通事故で、消息不明で死んだ女の腕の中に抱かれていた赤ん坊は、銀髪、紫の瞳。日本人の血など欠片も入っていないようだった。同じく、事故に巻き込まれ子供を失った夫婦のもとに引き取られ、赤ん坊は少年になる。
少年の名は、北島一郎(きたじまいちろう)という。
その学園は、有名な不良校だった。
門の前に立った少年は、にっこりとほほ笑む。
「さあ、始めましょう」
臆することなく、少年は門をくぐる。
「誠心誠意、です」
少年、一郎はニコニコ笑って、これからの高校生活に想いを馳せる。
「申し訳ありません。九頭虎(くとうとら)さんは、どちらにいますか?」
一郎は、柄の悪い不良集団に、声を掛けた。
「あん?九頭さんに・・・すっげえ美人・・・」
「一年か・・・?転校生?」
あまりにも整った容姿の一郎に、声を失う。
「転校生です。俺、北島一郎です。九頭虎さんの、弟です。よろしくお願いしますね」
その言葉に、皆は、首を傾げた。
一郎の見た目は、外人のそれである。
「名字、違うだろう?」
「母が、再婚して俺は旧姓のままです。俺、このままでは高校卒業も危ない、九頭虎さんに、弟としてこんにちはをする為に来ました」
「・・・赤の他人じゃねえか」
「赤の他人ですが、これから、ナイロンザイルの様に強い絆で結ばれる為に、来ました。ラブラブです。おにいちゃあんです」
「・・・」
ここで、皆、この一郎という名の少年が、見た目に反してずれずれの残念さんだと、なんとはなしに気が付いた。
と、ここで、一郎は不良の手に持った煙草の存在に気が付いた。
「あの・・・ダブりまくりで成人だぜ、さんですか?」
「あん?これか?違う」
「駄目です!成長期に煙草を吸うと、おチンチンの皮が剥けなくなって、ミニマム小人さんサイズになるんです!さあ、俺に見せて下さい!手遅れになってたら、どうするんですかあ!!!!」
「・・・そんなわけないだろう!」
「本当です!公園で昔会ったコートに全裸という、貧乏でお洋服の買えない可哀想なオジサンが、俺に見せて説明して下さいました!こんなんでした!」
幼少期から美形の一郎は、露出狂の変質者の良い餌食、ではなく、真顔で何でこんなにミニマムなのか、真面目に聞かれて、半泣き変態に教えられた嘘を、信じて大きくなってしまった様子。
『ちいちゃいですぅ・・・俺のと同じサイズです・・・。俺も、こんなんで大人になっちゃうんでしょうか?パパみたいに、なれないんでしょうかぁ。シワシワで臭いですぅ』
露出狂に近寄り、股間の目の前で泣く、小学生。ちなみに、露出狂は短小包茎、真性インポ。ただ、見られてキャーキャー言われたいヘタレ虫。
『いや・・・その・・・見ないで・・・』
『これじゃあ、公衆トイレでタチションが出来ません。あ・・・すみません!御病気なんですね?だからこの様な形状なんですね!申し訳ありません!』
その場で平伏し謝罪するランドセルの、小学生。
この日、ある露出狂の歪んだ、けれど軟弱なガラスのハートは完璧に破壊された。
露出狂は、二度と全裸待機をしなくなった・・・。
「と、言う事で、見せてくださあい!」
「見せねえよ!ってか、おまえ何だこの怪力、助けろおおおおお!」
一郎に襲われる不良の周囲で、皆、慌てて煙草を隠す。
だって、一郎は、片手で軽々大柄な不良を持ち上げ、素早く下半身露出させ、空に放り投げた挙句、一回転して落ちて来た不良を軽々抱え直し、股間を確認したのだ。有り得ない怪力である。
「・・・剥けてます。ずる剥けさんです。何でですか?」
「ふざけんなああああああ!!!」
こうして、北島一郎は、不良とファーストコンタクト。
頑張れ、不良達!相手は、KY妖精だ!普通の人類ではないが、話せば分かってくれる事も、有るかも知れない!
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