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武装天使
手段は選ばない1 (ゆりあ)
 目覚めると、私、柊ゆりあ(ひいらぎゆりあ)は、17歳の平凡少年になっていた。
 ・・・なんでやねん。

 考えても仕方のない事なので、考えるのは止めにした。
 とりあえず、目の前にある手首の切り傷を止血してみる。チャライよ。男性の鍛えていないとはいえ成長期で筋肉もある、腕を、こんな剃刀でどうこうしたぐらいで、死ぬもんか。
 さて、状況把握の為に、家探しをして見つけた日記や、遺書。
 ここは、山奥にある全寮制の男子校。
 そこに、季節外れの転校生が来た。理事長の甥っ子は、この学園の人気者達を虜にし・・・ここは、ゲイバイ率八割越えという、ユートピアらしく・・・うん、私、腐女子なんだよね。
 まあ、そんな訳で、ゲイバイにとってのアイドル生徒会や風紀、その他の人気者達には、親衛隊というえぐい集団が付いているそうだ。で、この転校生、もっさりオタクな外見の割に、美形に好かれ、親衛隊から虐めを受け、それを庇われ、いっそう好かれ、もっと親衛隊から嫌われ・・・無限ループじゃん!
 そんな転校生の同室の、この身体の持ち主。気弱平凡君は、親友認定されたせいで人気者達から嫌がらせを受け、殴られ、親衛隊による制裁という名の虐めを受け・・・仕舞いにはレイプ、リンチ・・・。
 で、世を儚んだと・・・。
 自殺ねえ・・・。
 健康な身体・・・。
 歩いても息切れのしない、身体・・・。
「いらないモノなら、貰っちゃうね」
 苦しくて、つらくて、死を選んだ貴方の心を理解できなくて、ごめんなさい。
 私は、この身体で・・・人生を楽しみます。

 だって、最後の記憶は・・・パンパンに浮腫んだ手足。横になる事も出来ず、座ったままの体勢で、喉に開いた穴に付いた呼吸器の作動音を聞き続けた・・・。
 生まれた頃からできそこないだった私の身体が限界を迎えた時・・・命を絶ったこの子の身体に私が入ったのは、何故かなんて知らない。
 理由なんかいらない。

 これは、私にとって、幸福な奇跡。
 
 ジンセイヲタノシモウ。

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