[携帯モード] [URL送信]

武装天使
手段は選べない2(誉)
「次は、書記ね」
 姉は計画を練る。
 憎い訳ではなく、ただ生きるのに邪魔だから排除する。まるで物をどかすだけの様に振舞う姉は、俺には理解できない。
 けれど、俺達は根本で似ている。
 手段は選べない。
「転校生は、正義感を振り回して騒いでたけどね」
 レイプ現場を見て、こんな事をしたのは誰かと、怒っているらしい。
「犯人をあげるわ」
 にっこりと姉は笑う。
 レイプ現場の犯人が人間ではないと分かっている者は、わずかだ。
「もともと、生徒会の中でも仲が良くなかった。噂を流したの」
 自分でではなく、この学園の小規模な裏サイトの掲示板を見付けたのだという。そこに、レイプ現場で被害者の子の携帯からアクセスして、すでに書き込みを済ませていた。
『書記様にヤラレタ』
 それだけ・・・。
「どうなるかは、知らない。私に手出しをする余裕がなくなれば良い」
 姉にとって、本当にそれだけなのだろう。
「ともかくさ、俺も役に立ったろう」
 俺は姉に笑い掛ける。
「とてもとても」
 にこにこと姉は笑う。
「じゃあ、協力を」
「分かっているわ」
 俺が欲しいのは・・・。
「誉の欲しい会長様、噂で私が暴行されたのではないかと心配して下さってるわ。本当に良い方ね。転校生に惚れてはいるらしいけれど、弱い者を気遣う心根がある。親衛隊もそれなりに統制がとれていて、この身体に暴行を与えた者はいなかったようよ」
 そんないい人でも、姉にとっては・・・。
「残念。お友達になれたかもしれないのに・・・。でも、誉が欲しがっているんだもの、仕方ないわね。私には、貴方の協力が必要だもの」
 生きる為に・・・。
 姉は冷徹に事を運ぶ。
「明日、相談があると呼び出してあるの。生徒会室に誰も来ない時間に入れるよう、キーを預かったわ。私が心配なのね。週末の夕方だし」
 生徒会室には・・・見回りが来ない。清掃は平日の午前中に済まされる。
「さあ、どうぞ」
 時間は、たっぷりとある。


[*前へ][次へ#]

10/59ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!