武装天使
コックリングとバイブ3
「やあ」
千尋は久しぶりに会う大河の姿に、大きく目を瞬かせた。
「で、今は大丈夫なんでしょ」
大河は千尋達に起こった事を聞いており、お茶に誘われて入った喫茶店でにこやかに談笑はすすむ。
「もう、身体もすっかり。でも、恋愛はこりごりです」
千尋は明るく言う。
「へーそれなら、最初から手出しするべきじゃあなかったねェ」
千尋は、意味ありげな大河の言葉に眉を潜めた。
「え・・・でも、僕、死にかけたし」
「死にかけた、ねえ」
大河と視線が絡まり・・・千尋は動けなくなる。表面上はにこやかな大河の目は、まったく笑っていなかった。
「本当に死ねば良かったんだよ・・・」
そう告げられた瞬間、千尋は恐怖で腰を抜かした。
「可愛く調教した子が捨てられるなんて、許せない」
大河はぼそりと呟いた。
調教師としての作品に、大河は思い入れが強い。気に入った子しか調教しないし、パートナーと幸せになってくれる事が大河の望み。千尋は博也を大切にすると約束したし、それを守れると思ったのに見込み違いだった。体力が持たないなら、道具を使うとか人を雇うとかどうとでもできたろう。それをしないなら、たとえ相手が浮気者であったとしても、調教を望んではいけないのだ。人としての尊厳を限界まで追いつめ、大河の誇れる作品に仕上げる。
それを・・・千尋は捨てた。
「俺がフリーなら面倒事もないけれど、礼がいるしね」
だから、博也の飼い主に相応しい者を性急に探さなければならない。
絶倫でなくとも、博也があんあん啼くのを可愛く想い、手間暇を惜しまず満足させてあげるパートナー。調教された者は奉仕者のように想われがちだが、本当はパートナーの方が奉仕者でなければ、関係を長く続ける事は困難だと大河は想う。
「大丈夫、君は俺の作品だから」
愛おしげに告げられた言葉に、博也はその場に泣き崩れた。
身体が浅ましく男を欲しがる。
それを受け止めてくれるパートナーは、いない。
「可愛いね、博也君。どんな人が好み?」
「・・・俺が、どんなに浅ましくとも逃げない人を」
それが望み。
「そうか・・・。探してあげるよ、君だけのパートナーを」
博也の願いは、三ヶ月後に叶えられる。
今はまだ、予想の付かない未来の
は・な・し
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