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武装天使
悪い子にはお仕置きです!2
「という訳で、おにいちゃあんです」
 にっこり笑うKY妖精に、九頭虎は、めまいがした。
「帰れ・・・」
「無理です。入学しちゃったんで、どうにもなりません。いくら、最愛のおにいちゃあんの頼みでも、あっさり中卒になる気はありません」
 正論を胸を張って、言う。
「なら、近付くな。俺の、戸籍上の親がおまえの親と結婚しただけだ」
「・・・そうなんですか?俺、戸籍は強いモノだと思っていました!」
「は?」
「だって、俺なんかこんな見た目で、どう見ても異人です。でも養子縁組という戸籍で親子になっちゃったぜキャハ!な凄技で、親ができました。戸籍最強!と思ってましたが・・・く・・・頭悪くてすみませんでした。おにいちゃあんができると浮かれて、フルマラソン制覇までしたのは・・・悪い記憶として孫の代まで封印します!」
 何故、フルマラソン?
 何故、孫の代?
 突っ込みどころ満載の一郎に、虎はめまいがした。
「・・・おまえとフルマラソンの経緯は興味がない。しかし・・・俺と親の確執は、おまえに関係ないとはいえ、兄弟になる事もない。確かに、高校を代えろは無理がある。学校では、俺に近付くな」
「・・・はい」
 一郎は、素直に頷いた。
 が・・・甘い。

「どういう事だ?」
 三日後、九頭虎は目の前で首を傾げるKY妖精に尋ねた。
「一向に、何が何やら・・・。悪い子にお仕置きをしていたら・・・TOPになったそうです。この場合のTOPとはどういう意味でしょう?」
「・・・一年のTOPだ」
「凄い!俺が学年で一番成績が良いって、どこで聞いたんですか?先生が、オフレコだよって教えてくれた内緒話なのに!」
「喧嘩のTOPだ」
「・・・俺、喧嘩なんてしません!」
 堂々と、一郎は言う。
「悪い子にお仕置きしかしていません!」
「・・・そ・れ・が喧嘩だあ!」
「違います!正当防衛です!最初に手を出して来たのは、向こうですし、俺に悪戯三昧をしようなんて、我が友、美晴ちゃんに怒られます。全裸で靴下だけで、正座させられます!」
「訳分かんねえ!いくぞ!」
「暴力反対です!」
 九頭虎は、二年の双璧である。不良校であるこの学園では、毎年全体のTOP争いは苛烈を極め、二年の虎を含む二人と、三年の一人が三つ巴の争いを繰り広げていた。一年は、この三人と比べれば小粒の者ばかりで、TOP争いには喰い込めていなかった。が、それでも、数人がせめて一年のTOPをと凌ぎを削っており、均衡した争いの勝敗はついていなかった。
 一郎が来るまでは・・・。
 KY妖精は、どんなに大人数が挑んできても、勝ち続けた。 
 しかも・・・喧嘩の自覚がない。
 ・・・で・・・。

「兄弟喧嘩ですね!嬉しいです!」
「・・・」
「あれ?どうしよう?おにいちゃあん、気絶しちゃ駄目です!あ〜〜〜ん、どうしよう〜〜」
 頑張れ九頭虎!相手は、KY妖精のうえ、猛獣を素手で倒すレベルの怪物だ!
 争って勝ち目はないが、残念さんなのでどうにかなるかもしれない!
 
 

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