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白騎士?黒騎士?
黒騎士レシュ5
「そもそもの、わらわはザイルとは姉妹の様に育ったのじゃ。先代の獣王はわらわの伯父上じゃ。わらわが毒物耐性があり、妻になると言った時のザイルの顔は見物じゃったぞ」
 デイデイアは伯父が獣王だった関係で、王宮で行儀見習いをしていた。要は、ザイルと幼馴染である。
「同様にの、シルルも幼馴染じゃ。属性は違えど、シルルの母親の姉が先代の獣王の妻であった。しかも、妊娠もせなんだからの。メイアは・・・先代獣王の妻で出産をした母を持っておる。が・・・兄がの獣王の血筋での。儀式で亡くなっておる」
 獣王の妻達は、獣王の子を一人産めば、お役御免になる事が多く、宿下がりして他の番を得て出産する事もある。メイアの母は、この場合で市井に下がって新たに子を産んだのだ。
「儀式・・・で」
 儀式の事は、レシュも知っている。
 獣王の儀式とは・・・獣王の子の戦いである。
 獣神の御前で、我こそが最強であると戦い勝者が獣王となる。勝敗は相手が戦闘不能になるまでで、場合によっては死してしまう事もある。ただ一人残った勝者は、先代の獣王から王玉を得るが、これは儀式の時身体に吸い込まれ位を退くまで獣王の身体に留まる。王玉により、獣王は獣人の中でも特殊な力を得る。
「ザイルが悪い訳ではない。ザイルとケレム・・・メイア兄の力が拮抗しておった。故に、破れし者が死したのじゃよ。ザイルとて瀕死での。王玉を得ねば、その場で死しておったじゃろう」
 ここで、レシュは気が付く。
「ということは・・」
「察しが良いの。わらわ達の子は、獣王たる事を望めば・・・戦うが定めよ」
 先代は子が二人しかいなかったが、今回は四人。
「願わくば・・・残りの三人も生き永らえる事ができればの」
 過酷な生を持つ子を産んでしまったのを分かりつつ、獣王の妻たる事を選んだデイデイアは、その時から目を反らすつもりはなかった。
「何故、そうまでして獣王を?」
 獣王をそこまでアハマドで必要とするのかが、分からない。
「・・・王玉はの。狂いの塊じゃ」
 レシュは、愕然とする。
「『狂い』とは、あの『狂い』ですか?」
「敬語は止めい。もう話してやらぬぞ。何も知らないで生き残れる程、ここは甘くないぞよ」
 つんとデイデイアは顎を反らす。
「分かった。『狂い』とは、あれか」
 デイデイアは頷く。
『狂い』とは、獣化した獣人が、その名の通り狂って暴れ回る事である。獣化による負担が過ぎてなのか、『狂い』の状態になると、以前より攻撃能力が増し、凶暴化したまま死ぬまで暴れ回るのである。
「正しくはの、獣神が、『狂い』から獣人を護る為に作って下さった石じゃ。守り石じゃよ。完全に『狂い』は止められぬが、この国にあるだけで起こる事がすくのうなる。ただし・・・不安定での。壊れるのを妨げるに、獣人の身体を『籠』とする。この『籠』が獣王じゃ。『狂い』を治める奇跡の守り石を体内に持つが故、獣化に負担がなく身体能力も上がる。しかし、守り石の神気は、他者には毒の様に効く」

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