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白騎士?黒騎士?
黒騎士レシュ2
 獣王は、王位に着く時儀式を行う。
 これにより、そうでなくとも高い身体能力は上がり、寿命は永くならないが老化が妨げられる。見た目に若く能力も衰えず、五種族を束ねるに相応しい者、それが獣王である。
 しかし反面、月に一度訪れる発情期が獣王にも制御できず、交わりは苛烈を極める。そのうえ、獣王は体質変容を起こしている為、人型ならばまだしも獣化した時の精液に毒物が分泌される。発情期は獣化してしまうので、夫人達は種族の中でも毒物耐性に長けた者が選ばれ、行為後は解毒に勤しむ。何故なら、獣王の子はこの発情期中しか受精しないからである。
「聞いているだろう?しかし、俺の妻達はもう子を得た」
 ザイルがレシュの全身を舐め上げる様に見る。
「もともと、獣化しての性交は突っ込んで出せれば良い。俺の愛しい妻達にこれ以上負担はかけたくない」
 獣王と四人の婦人達の仲は良好である。故に、孕んだ者達にこれ以上の苦痛を味合わせたくはない。いくら毒物耐性に富んでいても、歴代の夫人達の寿命は短い。発情期の交わりは、確実に命の灯を短くする。
 しかし、夫人達はもともと頑強な獣人の中でも選り抜きの毒物耐性を誇る者達である。それでもそうなのに、通常の者なら獣王と交われば一度で命を落とすだろう。
 ただし・・・デルウィドの祝福の祝福を受けた者ならば・・・。
「王女でも、騎士でも、男でも、女でもどうでも良い」
 ザイルは人間嫌いだ。
「突っ込んで出す、それだけだ」
 人でありながら、獣化した王と交わる為に用意された穴、それがレシュだ。
 レシュはそれでも耐えようと思う。
 今は獣化していなくとも、もともと異なる生き物である獣人の元に嫁ぐ嫌悪は、計り知れない。立場的に獣王の有り様は知っていたし、女王からも重ねて説明された。
 が、逃げない。 
 レシュの祖国イシスは、小さな国である。
 今回の事はイシス側に非があり、王女が愚かであっただけだから、なかった事してくれなどと口が裂けても言えない。そんな王女を放逐しなかったのがそもそも悪いのだ。
 アハマドは鎖国状態に近くとも、強健な国である。正当な理由を掲げて攻め込まれれば、他国の助成も難しくイシスは追い込まれる。
 それは、レシュの厭うところである。
 孤児であるレシュは、イシスの恩恵で教育を受け騎士となった。脆弱な国家なれど、イシスは教育に力を入れ公共の福祉に力を尽くす。王宮は質素で暮らし向きも華美ではなく、これも第二王女は不満に思うようだが、その分の予算を孤児等の施設につぎ込んでいる。イシスでなければ、今の自分はないとレシュは思う。
 女王は言う。
 耐えてくれと言う自分を恨め。第一王女に王位を譲りし後は、殺されても文句は言わない。
 それが事実であると、レシュもシザーも分かっている。
 もしも、デルウィドの祝福を受けし者が己であったのなら、女王は自分が行く為に王位を早めに退いたろう。しかし、第二王女は愚かで野心家だ。どちらの国にもやれない。きっと争いの火種を作ってしまうだろう。
 女王の決め事が、苦渋の選択であったのはレシュもシザーも認めた。
 故に来た。
 だから、もとよりザイルに何も求めない。
「分かっている。ただ、意識は失わせていただきたい」
 どうせ、出す穴だ。
「男の喘ぎなど、貴公も聞きたくないだろう」
 もし意識があったら、ザイルと交わりに出すモノは喘ぎではなく絶叫であろうと、レシュは心の中で自重しつつ告げた。



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あきゅろす。
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