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白騎士?黒騎士?
黒騎士レシュ8
「シルル・・・。何故俺が人間の、しかも男に愛を囁くんだ?」
 ザイルは頭が痛くなって、米神を押さえた。
「分かりませんの?分かりませんわよね。ああ、これだからお子様は」
 シルルは大仰に天を仰ぐ。
「初恋もまだの、お子様はこれだから」
「おい・・・」
 あまりの物言いに、ザイルは牙を剥く。
「いくらなんでもそれはないだろう?俺と子まで成しておきながら」
「子まで成した相手が四人も居て、心通いあっていない方が問題ですわよ」
 シルルの言葉に、ザイルは押し黙る。
「私とデイデイアは兄弟のよう。メイア殿は自分の兄を思い出してしまうから義務感。ペリエ殿は・・・あの方ああですものね」
「うん、まあな・・・ペリエは・・・な」
 言葉を濁すザイルにシルルは冷ややかだ。
「私がせっかく選んで差し上げましたのに!その方を大事になさらないのは許しませんわ!」
 シルルの言葉に、ザイルは首を傾げる。
「おい?あれは、デルウィドの祝福を受けた人の子というくくりで選んだだけだぞ」
 シルルは、小馬鹿にしたように首をを横に振って笑う。
「デルウィドの祝福を受けた人の子の中から、私とデイデイアが選びましたの。あそこの王女が企んでいると密告しましたのよ」
 悪びれた風もないシルルに、ザイルは愕然とする。
「おま・・・おい!おまえが変な密告しなかったら、女が来てたって事か!ふざけるな!」
「女が来て後宮を引っかきまわして、私達が総出で大騒ぎする事態を避けただけですわ!あの国の第二王女の大馬鹿ぶり!冗談ではありません事よ!絶対に許しませんわ!私だけではなく、デイデイアも同意見でしたもの!怒りますの?この件に関しては、私が正しいのですわ!」
 いつもは獣王であるザイルに黙ってそのような行いを、シルルはしない。そう思えば、今の激高する様子も仕方のない事なのかもしれない。確かにザイルも、この王女は馬鹿かと呆れはした。
「まあ、いい。過ぎた事だ。が、何故男は仕方ないにしても、黒騎士の方なんだ?」
 シルルは得意そうに、胸を反らす。
「白騎士の方は、それなりに遊んでいらっしゃいましてよ。まあ、童貞ではなかったんですの。要領も、それなりによろしくて。けれど、黒騎士レシュ殿は、なんと童貞でしたの!だからイシスの女王に画策するように依頼しましたの。幸いケルーセア側は、どちらでも良いようでしたし、くじに細工をしていただいて」
「八百長か・・・。童貞って、どうやってそんなこと知ったのか」
 ザイルは溜め息を付いた。
 まあ、たぶん、情報通の鎖国在沖でなんでと皆が不思議がる情報網を持つデイデイアが、暗躍したのであろう。自分の妻の一人とはいえ、デイデイアの存在は怖くさえある。

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あきゅろす。
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