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白騎士?黒騎士?
始まり
 女王は、物憂げに己の前に跪く騎士達を見ると口を開いた。
「わらわの命に、何があろうと従えるかえ?」
「は!」
「お望みのままに」
 国でも有数の剣の使い手として名高い黒騎士こと、レシュ。
 槍の名手の誉れ高い白騎士こと、シザー。
 二人とも長身の美丈夫である。
「では、二人とも男と閨を共にしてほしい」
 ・・・・・?
「「はあ?」」

 イシスは巨大な二国に挟まれた、小さな国である。幸いにも前代と女王の統治力が優れていた故に強国に挟まれつつも、自治を貫いてきた。しかし気を抜けば、すぐに小さなこの国は近隣国家に飲み込まれてしまうだろう。
「それなのに・・・我が娘ながら情けない」
 女王は顔を顰める。
 女王には3人の子供がいる。次期女王の第一王女は現在他国に留学中で、真面目で優秀な子供である。第三王女はすでに嫁ぎ先が決まっているうえに、まだ幼い。問題は第二王女で、何をどう間違ったがとんでもない阿婆擦れで、おまけに野心家だった。
「まさか、双方の国の王と第一皇子に粉を掛けるとは」
 王位継承権は第二位なれど、順当にいけば王位には着けない。ならばと隣国双方の王と第一皇子を誘惑し、後宮入りを持ちかけたのだという。
「どうやれば二国に嫁げるというのか・・・」
 企みは未然に防げた・・・半分のみ。
「後宮に、当国からの重鎮が入ると双方手続きが済んでいてな。しかも、デルウィド祝福を受けし者、が条件だ」
 デルウィドの祝福とはイシスで100年に一度起こる神災である。無性神デルウィドが与えるといわれるそれの特徴は、突然70人丁度で起こる意識消失。3日に及ぶ眠りから目覚めるのは5人で他はそのまま死亡。目覚めた者は不妊となり、その代わり毒が効かず、病に掛かりにくくなる。とはいっても、年は取るし加齢に伴う病は避けられない。避けられるのは、年齢にそぐわぬモノや流行り病。そして怪我はするし、それに伴う死は避けられない。
 このデルウィドの祝福の前回の生存者が、二人の騎士と王女だったのである。他の二人は、今だ発見されていない。
「否は聞かぬ。すまぬが、耐えてくれ」
 女王は、苦虫を噛み潰したような様子で、二人の騎士に命じたのだった。

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