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申し訳ない
番外編4 執事のお仕事その2
 かのんはタイを緩めた。、
「恭介、昴が何かしましたか?」
 恭介は、少し眉根を寄せた。
「ただ、しつこくてな。こちらも、久しぶりで、身体がきつくて止めろと言った後も、止めなかったからな。まあ、もう怒っていない」
「最近甘くありません?」
 恭介は、苦笑いした。
「甘くもなろうよ。知っているか?大学であいつはかなりもてる。なのに、誘惑に乗らずに『恭介さん、恭介さん』別に、俺はあいつが女と寝ても気にしないんだがな。俺一筋で、可愛いとも思うだろう。まあ、駄犬だが忠犬だ、な」
 昔と違って、恭介は自分のことを『俺』と言う。
「女だろうが、男だろうが、同じですよ。見捨てないでやってくれて、ありがとうございます」
「そういえば、チェス習っているだろう?少しは上手くなったか?」
 かのんは首を振った。
「一回も勝ってません。ところで何でチェス?」
「俺の、相手をできるように、だ。一回やるか?」
「もう少し修行してからにしてください。昴にも習うように、言いましょうか?」
「いらん。これ以上習うもの増やしたら壊れるぞ、あいつ」
 かのんは、含み笑いをした。
「やっぱり、甘いですよ」
「まあ、俺も丸くなったんだ。本人には言うなよ。調子に乗ると、手に負えん」
「わかってます」
 結局、昴がタチしかしたことがないらしいことも兼ねて、この人は甘いと、かのんは思う。いつも、暴走する昴に怒っても、かのんの取り成しで許してしまうのだから。恭介は、かのんや昴のように、懐に入れた人間には弱い傾向がある。外部の人間からしたら、意外だろうが・・・。
「じゃあ、俺が頑張って、強くなりますよ。お相手として、退屈しない程度には」
 恭介は鷹揚に頷いた。
「では、恭介、おやすみなさい」
 かのんは一礼して部屋を出た。
 明日になれば、また、恭介は自分の主となり、夜になれば、ただの恭介に戻る。繰り返される日々は、穏やかで、心地よいぐらいだ。
 常盤かのん、ただ今執事習い中。


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