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申し訳ない
番外編3 デートの結末その3
 すももは、映画の後10分ほど恭介と2人きりで話をしていた。にこやかに機嫌よく話す2人に、何を話しているんだろうと、昴と待つ。戻って来たところで、食事へ移動した。個室のあるフレンチの店で、なんと恭介の奢りだという。恐縮するかのんと昴に
「今日は特別だから」
と、余裕のすもも。訳も分からず、とりあえず、食事は進んだ。
「そういえば昴、今日はこのまま家に帰る予定だったな」
 恭介がにこやかに尋ねる。頷く昴。
「今日は特別だ。都合がつくなら俺様と泊るか?」
 思わぬ誘いに、昴の口からデザートのショコラがこぼれ落ちた。
「つきます!つきます!」
「やあねえ、がっついて」
 すももはころころと笑いながら、かのんを見た。
「で、本題よ。かのん」
 すももの瞳がきらりと光った。
「結婚して下さい」
 時が止まった。

「かのん、呆けすぎよ」
「だって、すももちゃん!何?え?いつ?」
 慌てふためくかのんに、冷静なすもも。昴もワタワタしているが、恭介は落ち着いたものだった。
「高校卒業と同時に。まあ、1年後ね」
「大学は!!」
「行くわよ。かのんも私も。まあ、聞いてよ。私、刑事になりたいじゃない?大学卒業後、国家公務員T種は無理だろうから、U種狙いなの。どっちにしろ、その後3年半ぐらいはそっちの学校と現場の、往復?まあ、最短でなんで、他にも色々あったら、どれぐらいかかるか分からないじゃない?その後だって、どうなるかわからない。そうしたら、私いつ結婚して、子供産むのって思ったの。いっそ、卒業と同時に結婚して、20歳ぐらいで子供産んで、大学休学して子供少し大きくなったら、復学が一番スムーズかなーと」
「あーーー。いや、そうかーー」
 確かに、かなりたたないと落ち着かなさそうだ。いや、ずっと落ち着かないかもしれない。
「でも、学生結婚かーー。まず、みんなに相談しないと」
 すももはにんまりした。
「ごめんね。かのん。とりあえず、両方の親には相談済みよ。結婚資金とその後の生活費は、利子0円で貸してくれるって。私が学生に復帰した後は、子育ても手伝ってもらうよう、頭下げてきました。恭介さんにもOKとって、後はかのんの返事待ち」
「姉さん、普通、かのんに相談するのが先・・・」
「昴、おまえは甘いな。かのんは常識人だから、こういうことは、外堀埋めてから逃げられなくして、最後に、ドンだ」
 恭介すごく楽しそうだねという言葉を、かのんは飲み込んだ。すももは、ここでかのんが断ればあっさり諦めるだろう。でも、そこまでお膳立てする大変さと、確かに、将来のことを考えればそれも、選択肢の一つなのだ。
「すももちゃん、時間くれる」
「もちろんよ」
 まあ、たぶん、かのんは飲んでしまうだろう。どうせ、すももとは結婚するんだし、自分達はこういう感じかちょうど良い。すももに引っ張られ、少しワタワタし、それでも、たぶん、ずっと幸せ。
 今までも。
 これからも。

 ちなみに昴は調子に乗って恭介を怒らせたらしく、次の日かのんに泣きの電話が入った。

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あきゅろす。
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