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申し訳ない
番外編3 デートの結末その2
「お姉様、今日はどうなさったんですか?」
「貴方達、私と同じ学校の子?」
「はーい。3年2組でーす」
 どうやら同じ学校の生徒らしい2人組に、にっこり笑うすもも。
「今日は、私もデートなの。そちらの方、かのんに何か用なら私がお聞きしますけれど」
 唇ピアスの男を睨むと、きゃぴきゃぴ2人は慌てて止める。
「お姉様、ごめんなさい。邪魔しちゃって、さあ、行こう。お姉様は、空手の全国チャンピオンよ。敵うわけないでしょ」
「お姉様、また、学校でー」
 男を連れて逃げて行く。
「何で、3年生がお姉様?」
 すももは2年生である。かのんが疑問に思って尋ねると、すももは肩をすくめた。
「あだ名みたいなものよ。前、生徒に淫行していた教師を叩きのめしてから、男女問わずにお姉様ってよばれるようになっちゃった」
 柔道部顧問のゴリラのような教師は、大人しそうな好みの生徒を見つけると、騙して家に連れ込み、犯して口封じに脅すような最低な男だった。例えば、学校で携帯を盗み、次の日、本人に『しまった、昨日拾ったおまえの携帯、服に入れたまま家に置いて来た。今から渡すから、帰り道少し時間をくれ』などと言うのだ。悪辣な男である。ある年、入学して来た見た目弱々しい美少女のすももに、手を出したところ、ぼこぼこにされそのまま警察に突き出された。警察の調べで過去の事件も明るみに出て、教師は逮捕され大騒ぎになった。マスコミにも大きく取り上げられたが、寮生活だったかのんには、あえて知らせなかった。やがて騒動が治まった後に、すももは尊敬をこめて教師から生徒にまで『お姉様』と呼ばれるようになったのである。
「まあ、いいわ。行きましょう。忙しい皇さんに無理言って時間を作ってもらったんだもん」
「そういえば、何で恭介に、相談?」
 不思議そうなかのんに、すももはすまなそうに笑った。
「今日の帰りには話すから、少しだけ待って」
 かのんは素直に頷いた。
 映画館の前では、昴と恭介が待っていた。いやになるほど様になっていて、すももと合わせた中で、自分だけ大浮きだなと、かのんは思った。まあ、今更そんなこと気にもしないが・・・。

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