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申し訳ない
番外編3 デートの結末その1
「明日、恭介さんとデートするんだ」
 二へ二へする昴に、それは良かったねと扉を閉めようとしたかのんは、動かぬそれにムッとした。
「映画!姉さんの見たがっていたやつ!!かのんの分もほらっ!!デートだよ!!忙しくて姉さんと会ってないじゃん!!」
「なんだ、くれるのか?」
 必死な形相の昴。
「うん、明後日の11時にスタートだから。恭介さんも楽しみに・・・」
「ちょっと待て。なんで恭介?」
「姉さんと恭介さんが行くって言い出して・・。悔しいから行きたいって言ったら、じゃあかのんもねって・・・」
「なんで、すももちゃんが、恭介と?」
「メル友?かのんの進学について相談するって・・」
「何で、俺の進学についての相談が、その2人で交わされるんだ?」
「え?わかんないけど・・・」
 昴は、言葉を濁す。
「とりあえず、それはデートとは言わん」
 すももと恭介の決めた事に、逆らう気も起きない。最近、達観してきたかのんだった。

 当日、直接映画館集合だった為、かのんは一人で少し遠い町まで来た。単館上映作品だったのだ。中等部から全寮制だったこともあり、人込みを歩くのに不慣れなかのんは、ぶつかってしまい、その相手に腕をひねり上げられた。
「なにしやがる!ああん?」
 日焼けして唇にもピアスを付けた、まあまあみられる男が巻き舌でがなる。巻き髪のきゃぴきゃぴした女の子を2人連れている。
「あ・・。すみません」
 頭を下げてどこうとすると、そのまま胸倉を掴まれる。
「すみませんじゃねえよ。こっちこいや」
 いやな笑いを浮かべる男に、もしかして絡まれているのかと、かのんは思い当たった。寮生活のかのんは、絡まれた経験などなく、これは貴重な経験かと間が抜けた事を考えた。
「待ちなさい」
 物陰に連れ込まれていたかのんは、よく聞き知った声にそちらを見た。
 風にたなびく黒い髪。すんなりした姿態。にっこり笑う完ぺき美少女。
「すももちゃん」
「お姉さまあーーー!」
 巻き髪のきゃぴきゃぴ2人の黄色い声。なんですと?


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あきゅろす。
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