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申し訳ない
番外編1 平凡書記の誕生その2
「で、結局、どうなるんですか?」
「抱かれたいの1位は恭介で、会長。常盤君は、希望ある?」
「余ったので良いですよ」
「じゃあ、北条が2位だからそのまま副会長。総合の3位は本間君で会計希望。5位は宇佐美君で彼は特待生だから辞退。6位は柊君だけど、彼は、会計の本間君もフォローしてくれるから、会計監査。書記をお願いしたい」
 連が饒舌に言う。去年は特例で会計が2人いたが、本来は会計と会計監査に分かれるのだ。また、海は1年の首席で成績での特待生を中等部から取っている。
「昴、入ったんですか?」
 余りにも驚いて、他の面子がわかっていなかった、かのんである。
「なにせ、彼、自分が恭介の相手だって堂々と言っただろう。しかも、ねえ」
 恭介にばれて変装の意味のなくなった昴は、次の日から素顔で登校した。金髪緑眼の超絶美形が昴だとわかると、学園は騒然とした。しかも、早速掌を返して色目を使ってきた生徒に『俺は、恭介さんにしか勃たないから』と言い放った。あの後、そうでなくても怒っていた恭介は完全にへそを曲げ、無視された昴に泣きつかれて、プライベートのお付きまでして仲を取り持ったのが、かのんである。
「あいつ、また何かしました?」
「『昨日の恭介さん、可愛かったなあ』。俺様のどこが可愛いんだ?確かにやったが、何を言い出すんだか」
 吐き捨てるように言う恭介に、かのんは頭を抱えた。
「それどこで言ったんです?」
「食堂だよ。親衛隊の山田君にのろけていたそうだよ。周囲で聞いていた俺の親衛隊の子が、うどん吹いたと言ってたよ」
 連が上機嫌で言う。寡黙な書記の珍しい笑顔だが、ノンケのかのんには嬉しくもなんともない。
「おまえ、理不尽だが、あれをどうにかできないか?真面目に、もう相手してやりたくなくなってきた」
「すみません、すみません。浮かれてるんです。昴はほんとーに馬鹿で、下品で、変態じみてますが、会長への思いは本物です!会長に捨てられたら、たぶん死にます!書記がんばりますし、すももちゃんと締めますから、もう少し、様子見てやってください」
「会長じゃなくて、恭介だ」
 恭介はにやりと笑った。
「外では会長で良いが、生徒会室や、一般生徒がいないところでは、恭介。ほら、呼んでみろ」
「無理言わないで下さいよ」
「夏休み、昴に一回も会わないでいてやろう」
「どーいう脅し方するんですかーーー!!そんなことされたら、鬱陶しくて仕方ありませんよ!俺の家、榊原家の隣ですよ!毎日しくしく泣かれて、すももちゃんとも滅多に会えないのに邪魔されます!!」
「知るか」
 引く様子のない恭介にかのんが折れた。なにせ、恭介には、かなり無理をさせている。昴が幸せそうに笑って恭介のことを語るのは、かのんとすももにとって、かなり嬉しい事なのだから。
「・・・。わかりました。きょーすけ」
「・・・。たどたどしいな。そんなに俺様の名前は言いにくいか?」
「慣れてないだけです。時間下さい」
「早く慣れろ」
「善処します」
 二人のやり取りに、連は笑みを浮かべる。恭介がこんな話し方をする相手を、連は他に知らない。これでこそ、画策したかいがあるというものだ。なにせ、連は俺様で孤高の帝王然とした恭介が、それなりに可愛いのだ。
 寡黙書記葛城連の後任は、平凡で出来レースで生徒会入りした、常盤かのんに決定した。
 ちなみに、後期のランキングに、かのんは入らなかった。

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