黒白の世界へ
21
ジャンに向かって撃たれた血の弾丸。だけどそれはジャンにではなく、ジャンをかばったアレンの右肩に当たっていた。
「う……」
『アレン!』
私はすぐにアレンの元に近づいたが、アレンの顔にはペンタクルが浮かんでいた。
「ハアv 躊躇なく弾丸に飛び込んで来るとは勇敢ですねぇv 気分はどうです、ジャンくん? キミはねぇ、ムカツクんですヨ。力もないのに正義にばーっか燃えてて、我輩のこと悪者悪者っテv 我輩はただみんなのために、アクマをつくってるだけなのニv」
『伯爵っ……!』
私はすぐにラークを発動しようとしたが、アレンが腕を握ってきたため発動するのはやめた。
だけどいつでも発動出来るようにラークを飛ばせた。
「どうです、醜いでしょウ?v これは人の心が招いた罪の結晶です。キミはアクマを我輩が造る単なる兵器と思ってるようですが、アクマは人の心が産むものなのですヨv このアクマもそう、キミの親友のレオが造んだアクマなのでスv」
「レオが……」
ジャンが信じられないと言う声を出した。本当にレオ君を大切に思っていたのだろう。
「死んだレオのお母さん」
『アレン?』
突然アレンがつぶやいた。
「レオは……、伯爵の力を借りて死んだ母親の魂をこの世に呼び戻しAKUMAにしてしまったんだ。僕には見える……。アクマにされて苦しんでる彼の母親の姿が」
アレンが話してる間、母親という言葉にふいに私を育ててくれたルイスの優しい笑顔が浮かんだ。
心の奥底にあった。レオ君と同じ気持ち。
――もう一度だけ会いたい。
「見えル?v 何を言ってるんです、この死にぞこないがv」
私は伯爵の言葉に鼻で笑った。すると伯爵が私を睨みつけてきた。
「何がおかしいのですカ?v」
『別に。ただアレンは体内に対アクマ武器を宿した人間。だから撃たれてもアクマの毒は浄化できる』
私が話してる間にアレンは対アクマ武器で毒を浄化していた。
けれどそれによりジャンが、アレンの額にある逆星の傷に気づく。
「ア、アレン……。お前の……それ……何?」
「呪い……。僕は昔、大切な人をアクマにした。その呪いで、この目にはアクマに内蔵された魂が見えるんだ」
アレンの言葉に伯爵がアレンを指しながら叫んだ。
「あー!v 思い出した……。我輩は昔、お前に会ったことがあル……v お前はアレン・ウォーカー。父親をアクマにしたあの時のガキですネ!v」
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