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黒白の世界へ
10
「義兄さん? ただいま、マルク義兄さん。体の具合はどう?」

そういいながらモアさんは、マルクさんがいるであろう部屋に入って行った。

私とアレンは指示された部屋に大人しく入ったが、すぐに玄関に体を向けた。

『どうする?』

「抜け出すなら、モアさんのいない今ですね」

『だよね。教会にいる警部さんたちも心配だしね』

私たちはモアの家にいた。そして抜け出す算段中。

抜け出すことが決定し、アレンが玄関のドアに手をかけて開けようとした瞬間、さっきまで大人しくしていた猫が暴れだした。

ガッチャーン

「わー! 暴れるなって!」

『アレン、静かに!』

猫のおかげで残念ながら抜け出すことが、できなくなった。

「こらー! 何やってんの。部屋から出るなって言ったでしょ!」

「いや、その……」

「教会に行く気だったわね!」

『ちょっとだけですから!』

「ダメ!」

そう言って行こうとした私たちの後ろ首の衿元をモアさんは素早く掴んだ。

『「「はぁ……」」』

ため息をつく私たちに警部の、とある一言が思い浮かんだ。

「エクソシストぉ? なんだ、そりゃ! もーいいよ。お前ら、とりあえず保留! オレは現場に戻る。モア巡査、お前は自宅でコイツの見張りだ!」

イコール、モアさんは自宅謹慎。私たちのせいでないと信じたい……。

「アレンくん、ティノちゃん。あなたたち、ホントに犯人が悪魔だと思ってるの?」

「はい?」

『どういうことですか?』

「悪魔というのは、古代の人間が病や禍に対する恐怖心から創り出した、空想のキャラクターよ。言葉や思想の中だけで、現実には存在しないの。私は、呪いや悪魔なんて信じないわ。そういうの、キライなの」

モアさんの説明に私とアレンは顔を見合わせた。

『えっとですね……。私たちの言ってるアクマは、そういうもののことじゃないですよ』

「え?」

「「AKUMA」とは兵器の名称-ナマエ-です。人類を標的-ターゲット-に造られた悪性兵器。それが「AKUMA」です。普段は、人の形をしているので人間と区別しにくいんですが……」

アレンが説明していると、ドアが勢いよく開いた。

「「『!』」」

開いた場所には、車椅子に座った男の人が唸っていた。

男性を見て私はアクマだと思い出した。

男性は何かをつぶやいた瞬間、レベル1のボール型のアクマの姿に変わった。

「なによ、これ……」

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