黒白の世界へ
8
「捕まえた。今度こそ逃がさないぞ」
『もしもし、アレンくん……?』
私がつぶやくとアレンはこちらを見た。その瞬間、モアが咳込んだ。
その声にアレンは驚き動揺していた。この後、私はどうなるかわかっているから少しずつ後ろに下がった。
もちろん、アレンの手には手錠がかけられていた。
「こいつ、よくも……。何者だ!」
あたふたし始めたアレン。私は仕方なくアレンの隣に向かった。
「ご、ごめんなさい。つい夢中で、気づかなくて」
「!」
『私達は猫を捕まえようとしていた、ただの旅人です』
そして私達は窓に手錠で繋がれた状態となった。ルーはまだ小さいからカバンに隠れてもらった。
ラークは肩にちょこんと乗ってる状態。
「へぇ。ここってそんな物騒な噂があるんですか。僕達は今朝、この町に来たんですけどここの前を通り掛かった時、ノラ猫に大事な者を食われちゃってずっと探し回ってたんです」
「……」
モアが怪しそうな目でこちらを見てきた。
『本当ですよ。師からの預かり物で、なくすわけにはいかないんです』
「師? じゃあその人は、どこにいる?」
実際に言われると本当に痛いところをついてくるな……。
「いや……、それがインドで失踪して……」
「……」
なんだこの空気は……。
「とにかく、仲間を連れて来るから待ってなさい」
そうモアが言った瞬間、男の叫び声が響き渡った。
「な、何?」
「あの!」
「キミ達はここにいて!」
そう言いながらモアは出て行った。
『アレン! あの人を追いかけて!』
「でもティノはどうするんですか?」
『こっちはこっちで何とかするから。早く!』
「わかりました!」
アレンは左腕のイノセンスを発動させて手錠を解き、モアの後を追った。私もアレンを追うため、イノセンスを発動させた。
(発動! mode.ナイフ!)
ナイフで手錠間の鎖を断ち切った。手錠自体は外せないけど……。
『ラーク、アレンの後を追うよ!』
「ピィ!」
そして私達はアレンの後を追った。
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