黒白の世界へ
6
「急に凶暴化したと聞いたからな。正解だったらしいな」
『正解って……』
(やばっ。嫌な予感……)
「え、じゃあ、ティノはこの鳥の……」
「ああ。俺を除いて異例の二つのイノセンスの適合者ってことだな」
嫌な予感的中。
(そ、そんな……。一つでもいっぱいいっぱいなのに、二つだなんて……)
よほど、私が落ち込んでいるように見えたのだろう。クロスが私の頭の上に手を優しく乗せてきた。
「大丈夫だ。しばらくは本部に帰るつもりもねーから、ばれることはない。お前らが本部に行くのは、まだ数年先の話だ」
『は、はい……』
(それでも……)
私はクロスの言葉が本当なのはわかる。でも……それでも中央にどんな目で見られるか……。
「大丈夫だよ、ティノ! これからは僕がずっとティノを護っていく! 誰にもティノを傷つけさせたりなんかさせない。約束!」
アレンがすごく必死な、真剣な眼差しで私を見ていた。生まれ変わる前も生まれ変わってからも、こんなふうに言われることはなかった。
私はアレンの言葉が嬉しくて心の底から微笑んだ。
『約束だよ』
「うん!」
そうして私達は大切な、約束を交わした。
後に、イノセンスに寄生され私の第二のイノセンスとなった鳥はラークと名付けられる。
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