短編集
10月14日
「や、やっと終わった……」
とある一室で日に焼かれ金にも近くなった茶髪の青年がぼやきながら椅子に深々と座り込んだ。
するとドアからノックされた音がし、青年は軽く返事をして招き入れる。
「十代目、お疲れ様です」
入ってきたのは手元にコーヒーカップを乗せたお盆を持った、銀髪の青年だった。
「獄寺君! いつもありがとう」
十代目と呼ばれた青年…沢田綱吉は嬉しそうに獄寺からコーヒーカップを受けとる。
「いえ、十代目の仕事に比べればこんなこと。あ、そういえば十代目宛に日本から荷物が届いていましたよ」
「日本から? 俺宛?」
ボンゴレ本部に荷物が届く事はない。となれば日本の部下が届けに来たのだろう。
誰からだろうと綱吉は首を捻った。
獄寺はそんな綱吉の動作に微笑み返しながら聞き返す。
「はい。隣の部屋に置いておきましたがどうしますか?」
「うん。見てみるよ。ありがとう、獄寺君」
「いえ。あの、十代目。俺から……というか俺達からも渡したい物があるのでそのまま隣の部屋にいてもらえませんか?」
「? わかった、いいよ」
「それじゃ、失礼します」
獄寺は一礼し部屋から出ていき、綱吉も残ったコーヒーを飲み干し隣の部屋に移動した。
「これかな?」
綱吉が手に取ったのは中ぐらいの包みだった。
荷物と獄寺が言った為、もっと大きな箱を予想したがどうやら違ったようだった。
だが包みに『Dear.Sawada』と綴られていたためこの包みだと判断し中を開いた。
中には小さなぬいぐるみと小さな人型のぬいぐるみ二つと手紙が入っていた。
綱吉はぬいぐるみを取り出して少し驚いてしまった。
「ナッツそっくりだ……。しかもこっちは京子ちゃんとハルに似てる」
綱吉はぬいぐるみを机に置き、手紙を出して読んだ。
『ツっ君へ。誕生日おめでとう。お兄ちゃんの部下の人に14日に届けてもらったの。今日はツっ君の誕生日でしょ? 私日本にいて何もしてあげられないから、ぬいぐるみでごめんね。色々と考えたんだけどナッツちゃんのぬいぐるみなら気に入ってくれると思って。私なりにすごく上手にできたと思ったの。またいつでも日本に、並盛に帰って来てね。私はずっと待ってるから。誕生日おめでとう。京子より』
綱吉は手紙とナッツのぬいぐるみを交互に見て呟いた。
「そっか。今日は俺の誕生日だ。忙しすぎて忘れてた」
ふと、手紙をの封筒を見遣るともう一枚手紙が入っていた。
『ツナさんへ。HAPPY BIRTHDAYです! 私はお菓子にしようとしたんですが腐るって言われたのでハルも京子ちゃんと同じぬいぐるみにしてみました。最初はデンジャラスな物が出来てしまったんですが、最後に綺麗に完成したんでそれを送ってもらいました。今度日本に帰って来たらケーキを作るので皆さんで食べましょう! 本当の本当にHAPPY BIRTHDAYです! ハルより』
綱吉は手紙を読み終え、京子とハル似のぬいぐるみを手に取った。
「ありがとう、二人とも」
――今は離れていて言えないけど……手紙でしか言えないけど、並盛に帰ったら必ず言うからね。
するとドアが再びノックされ、獄寺かと思い返事をすると入ってきたのは山本だった。
「入るぜ、ツナ」
「山本。どうしたの?」
「ん? ちょっとな」
ぬいぐるみを机に置き、山本の方を向いた。
すると山本は綱吉の方まで来て、優しくつぶやく。
「ちょっとそのままドアの方を向いててくれな」
「? わかったよ」
綱吉は山本の言う通り体をドアの方に向けた。
山本はドアの前まで行き、綱吉がこちらを向いているのを確認しドアを二度、ノックした。
すると外から同じように二度、ノックが返ってきて山本はドアを開けた。
「うわぁ……」
入ってきたのは色とりどりのストレプトカーパスの花束を持った獄寺、その後ろに守護者である雲雀、了平、ランボ、クロームだった。
「十代目」
「ツナ」
「綱吉」
「沢田!」
「ボンゴレ」
「ボス」
『(極限に)お誕生日おめでとう(ございます)!』
綱吉は獄寺から大事に花束を受けとった。
花はそれぞれの炎の色、赤・青・黄・緑・紫・藍の花。その中心には綱吉を表すオレンジ色がそえてあった。
「うわぁ。ありがとう!」
嬉しくてじっと花を見ているとクロームが話しかける。
「ボス。この花の花言葉知ってる?」
「ううん、知らないや」
綱吉は首を横に振り、クロームを見た。けれど答えたのは山本だった。
「こいつはストレプトカーパスって花で花言葉は……。何だったっけ?」
「覚えてねーなら先に答えるな! 野球馬鹿が!」
「ハハッ。わりーわりー」
「そ、それで花言葉は何なの?」
綱吉の質問に答えたのは意外にも雲雀だった。
「“信頼に応える”だよ」
「“信頼に応える”……」
綱吉が雲雀の言葉を噛み締めるように繰り返す。
喧嘩をしていた獄寺も喧嘩をやめ、綱吉を見た。
「俺達守護者は必ず十代目の信頼に応えて見せます」
「だな♪」
綱吉は守護者の面々をそれぞれ見ると獄寺の言葉に応えるように頷いて行った。雲雀は相変わらず鼻で笑うだけだった。
綱吉はそれだけで嬉しく思えた。
「獄寺君、山本」
「はい」
「おう」
「ランボ、お兄さん」
「はい」
「うむ」
「雲雀さん、クローム」
「何?」
「ボス」
――俺も応えよう。いつまでもついてきてくれた君たちに。飛び切りの笑顔で。
「これからもよろしく」
「はい!」
「おう!」
「もちろんです!」
「極限によろしくな!」
「わかってるよ」
「よろしく、ボス」
――俺も応えて見せるよ。君たちの信頼に……。
∞∞∞∞
長くなってしまいましたね。ストレプトカーパスって花は簡単に言うと大きいスミレみたいな感じだそうです。
色は現実になかったら品種改良だと思って下さい!(←
リボーンからのプレゼントは日本行きの休暇だと想像してます!
そして年代は十年後設定です!初十年後設定で書かせていただきました。
獄寺君は好きだけど話し方がわからない。
混合を書こうとしてるのにこれかよ……
2011年10月14日
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