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短編
Give Me All Your LOVE

アンケ1位

彩雲国@双玉



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「ど、したんだ…?静蘭」

「何か文句でもあるのか?」



上ずった声の燕青に静蘭が軽く視線を上げ、むっとした声を出した。
瞬時にぶんぶんと首を横に振る燕青に満足そうに笑うと、静蘭はまた視線を下げた。




「………」



沈黙。
この間に燕青は永遠にも感じる葛藤を繰り広げていた。
我慢の限界がきて、もう1度声をかる。




「静蘭…聞いてもいいか?」

「……なんだ」

「この状態は…え、と…何?」

「不満か?」

「いや、不満て訳はねーけど。俺の我慢、が。」



そこでようやく静蘭は読んでいた本を手放し燕青と向き合おうとした。
それを慌てて燕青が止める。
今の状態でもまずいところまできてるのに
正面なんて向かれたら困る。



「なぜ止める?」

「なぜってお前な…いきなりそんなとこに座って黙々と本なんか読みやがって。俺を試してるならそー言ってくれ」



そう。
突然部屋に入ってきた静蘭は、声をかける燕青を無視してその足の間に座ったのだ。
抱きしめてもいいのか、それ以上してもいいのか。
行き場を失った手と、体の熱に燕青もいい加減困り果てていた。



「別に試してはいない。…なんだ?興奮したのか?」

「…っ!?」



燕青の静止も聞かず、くるりと向きをかえ
燕青に向き合う。
滅多にない至近距離に少し戸惑う。



「これは、好きにしちまっていいってことだよな?」

「さあな」



にやっといたずらに成功したように笑う静蘭の唇に噛みつくように口付けた。




「…んっ…ふぅ……」

「…っ」



するとそれに応えるようにするりと首に腕を回してくる静蘭。
燕青が驚いたように目を開く。
入ってきたのは、長い睫毛を伏せ、快感に溺れる静蘭の表情。




「…は、」

「やべ。止まんねえかも俺…」



まるで止めなくてもいいとでもいうように、静蘭からの口付け。



「、ン、はぁ…えん、せ」



合間に名前を呼ばれ、燕青の体にゾクリとしたものが走る。
気持ちが昂り、自身の抑制が弱くなる。




「静蘭っ!」

「待て」



そのまま情事に持ち込もうとした燕青に突然の待ったがかかる。
え、なに?
と、不思議そうな顔をする燕青からするりと離れ、静蘭は満足そうに燕青を見た。



「あの、静蘭さん?これはいったい…」

「もういい。」

「へ?」

「もういい。と言った」

「な、にが?」



全くもって意味が理解できないと首を傾げる燕青に向かって、静蘭は蕩ける様な微笑みを向けた。




「充電」




そう言い残して
静蘭の姿はパタンと扉の向こうへ消えた。



Give Me All Your LOVE




END



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あきゅろす。
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