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記念作品

撮影日当日。
何故か、夾の屋敷に連れて来られた女性陣。

夾と斎そして辰実は、小説の内容を知っている。
相沢も、あの後読んだのだが、物凄い内容だと呟いた。
ただ、自分と瑠衣は関係ないと思っていたのだが、どうやら話は違う様だ。



睦月:「姫は何が始まるのか知ってるの?」

藍 :「私も知らないの。ただ…良い事じゃないのは確か」



自信を持って言っている藍は、二階の一室を凝視している。
何しろ…夾の店のスタッフがウロウロしているのだから。
しかも、カメラや照明機具を持っている。



瑠衣:「何故でしょうか…嫌な予感がします」

寧々:「同感」



スタッフを見るだけでもドキドキする女性陣は、皆逃げようかと悩んでいた。
しかしそれをすると、夾を敵に回す事になる。
それだけは絶対避けたい為、我慢して立っているのだ。

そんな時、スッと陸斗が現れた。



陸斗:「皆様方。こちらを着用して下さい」



そう言って、一人ひとり手渡したのは中華風の服だった。
着物に似ているが、若干違っている。



藍 :「何処から調達したの?」

陸斗:「お聞きになりますか?」

藍 :「いえ…結構です」



当たり前の事を聞いてどうするのかと言う言葉に、藍は首を振って答えた。

提供者は、frolicsomeの重役達に違いない。
こう言った服は、絶対にそこからのモノだ。


藍は夾との約束がある為、渋々受け入れる。
だが、他の三人は困惑するしかない。



睦月:「私達もなの?」

寧々:「となると…何の撮影だと思う?」

瑠衣:「AVでしょうか?」

寧々:「それだったら服は要らないんじゃない?」

睦月:「ちょっと二人とも!何を呑気な事を言ってるのよ」



うっかり服を受けとってしまった睦月は、かなり焦っている。
AVを撮るなど、辰実からは聞いていない。
否、そんな事ではなく、絶対に嫌だと言うことだ。



睦月:「私は嫌!帰る!」

藍 :「うわぁ〜☆昔の中国の人って感じ」



三人で話している僅かな間に、既に着用済みの藍。
しかもそれが、似合っているから凄い。
ただ…空気を読んでほしい所だ。



睦月:「姫…もう少し周りをっ」

夾 :「おや。お前達は着替えないのか?」



突然現れた夾に、三人はビクッと肩を揺らす。
着替えていない事に怒られるのかと思いながら、夾の行動を見つめた。

その夾は、着替え終わった藍に近付き、衣服を整えて完璧に仕上げている。



夾 :「可愛いよ」

藍 :「本当?でも…何が始まるの?」

夾 :「言っただろ?ホームビデオと。まぁ、短編映画みたいなモノだ」



その言葉を聞いた三人は、“そんなの聞いてない!”と口を開きかけた。
だが、マイペースな藍に遮られる。



藍 :「そうなんだぁ。誰が主役?」

夾 :「勿論藍だよ」



甘い雰囲気を醸し出す二人に、睦月がストップをかける。



睦月:「じゃぁ私達は関係なっ」

夾 :「まぁそう言うな。皆でする方が面白いだろ?」

睦月:「結構です」

夾 :「早く着替えろ。もし断れば…違う女を連れて来るぞ」



その言葉にのせられた三人は、我先にと着替えはじめたのだ。
勿論、夾には見えない様に。

誰しも、自分以外の女を相手にしてほしくないと言うモノ。



藍 :「どんな内容?」

夾 :「あぁ、藍はほとんど台詞はない。睦月、寧々、瑠衣。お前達はこれを読んでおけ」



薄い一枚の紙を三人に渡した夾は、藍を連れて出ていく。
その背を見つめながら、それぞれ渡された紙の文字を追った。



寧々:「これって…Hシーンしかないじゃない」

睦月:「うわぁ…姫、可哀相」

瑠衣:「私達はあまり関係なさそうですね」



ホッとした三人は、見えない藍に心の底からエールを送ったのだった。



斎 :「どうして俺達まで?しかも大幅に内容を縮小して、Hシーンだけしか残ってないし」

辰実:「馬鹿か、お前は。夾は犯す所しか興味ないぞ」

相沢:「えぇ。はっきり言って、今回はAVに近いですよ」



三人は盛大な溜め息を吐き、夾が戻って来るのを待った。


しかしいくら待っても戻って来ない。
時計を見れば、かれこれ2時間が経過している。
探そうかと迷っていた時、同じ事を考えた女性陣が合流した。



睦月:「2時間も待たされてるんだけど」

辰実:「帰るか?」

斎 :「でもなぁ…」

寧々:「うん。敵に回したくない」

瑠衣:「はい。何をされるか分かりませんし」

相沢:「探す必要はありませんよ。恐らく、盛り上がっている最中でしょうから」



クールな表情で言い放った相沢は、PCの画面を見つめながら仕事をしている。

そんな相沢を見て、自分達も好きな事をしようと思った面々。
幸にもこの屋敷には、ルーレットやビリヤードがある。
相沢を除いた一同は、それぞれ遊びはじめたのだった。






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