記念作品 2 撮影日当日。 何故か、夾の屋敷に連れて来られた女性陣。 夾と斎そして辰実は、小説の内容を知っている。 相沢も、あの後読んだのだが、物凄い内容だと呟いた。 ただ、自分と瑠衣は関係ないと思っていたのだが、どうやら話は違う様だ。 睦月:「姫は何が始まるのか知ってるの?」 藍 :「私も知らないの。ただ…良い事じゃないのは確か」 自信を持って言っている藍は、二階の一室を凝視している。 何しろ…夾の店のスタッフがウロウロしているのだから。 しかも、カメラや照明機具を持っている。 瑠衣:「何故でしょうか…嫌な予感がします」 寧々:「同感」 スタッフを見るだけでもドキドキする女性陣は、皆逃げようかと悩んでいた。 しかしそれをすると、夾を敵に回す事になる。 それだけは絶対避けたい為、我慢して立っているのだ。 そんな時、スッと陸斗が現れた。 陸斗:「皆様方。こちらを着用して下さい」 そう言って、一人ひとり手渡したのは中華風の服だった。 着物に似ているが、若干違っている。 藍 :「何処から調達したの?」 陸斗:「お聞きになりますか?」 藍 :「いえ…結構です」 当たり前の事を聞いてどうするのかと言う言葉に、藍は首を振って答えた。 提供者は、frolicsomeの重役達に違いない。 こう言った服は、絶対にそこからのモノだ。 藍は夾との約束がある為、渋々受け入れる。 だが、他の三人は困惑するしかない。 睦月:「私達もなの?」 寧々:「となると…何の撮影だと思う?」 瑠衣:「AVでしょうか?」 寧々:「それだったら服は要らないんじゃない?」 睦月:「ちょっと二人とも!何を呑気な事を言ってるのよ」 うっかり服を受けとってしまった睦月は、かなり焦っている。 AVを撮るなど、辰実からは聞いていない。 否、そんな事ではなく、絶対に嫌だと言うことだ。 睦月:「私は嫌!帰る!」 藍 :「うわぁ〜☆昔の中国の人って感じ」 三人で話している僅かな間に、既に着用済みの藍。 しかもそれが、似合っているから凄い。 ただ…空気を読んでほしい所だ。 睦月:「姫…もう少し周りをっ」 夾 :「おや。お前達は着替えないのか?」 突然現れた夾に、三人はビクッと肩を揺らす。 着替えていない事に怒られるのかと思いながら、夾の行動を見つめた。 その夾は、着替え終わった藍に近付き、衣服を整えて完璧に仕上げている。 夾 :「可愛いよ」 藍 :「本当?でも…何が始まるの?」 夾 :「言っただろ?ホームビデオと。まぁ、短編映画みたいなモノだ」 その言葉を聞いた三人は、“そんなの聞いてない!”と口を開きかけた。 だが、マイペースな藍に遮られる。 藍 :「そうなんだぁ。誰が主役?」 夾 :「勿論藍だよ」 甘い雰囲気を醸し出す二人に、睦月がストップをかける。 睦月:「じゃぁ私達は関係なっ」 夾 :「まぁそう言うな。皆でする方が面白いだろ?」 睦月:「結構です」 夾 :「早く着替えろ。もし断れば…違う女を連れて来るぞ」 その言葉にのせられた三人は、我先にと着替えはじめたのだ。 勿論、夾には見えない様に。 誰しも、自分以外の女を相手にしてほしくないと言うモノ。 藍 :「どんな内容?」 夾 :「あぁ、藍はほとんど台詞はない。睦月、寧々、瑠衣。お前達はこれを読んでおけ」 薄い一枚の紙を三人に渡した夾は、藍を連れて出ていく。 その背を見つめながら、それぞれ渡された紙の文字を追った。 寧々:「これって…Hシーンしかないじゃない」 睦月:「うわぁ…姫、可哀相」 瑠衣:「私達はあまり関係なさそうですね」 ホッとした三人は、見えない藍に心の底からエールを送ったのだった。 斎 :「どうして俺達まで?しかも大幅に内容を縮小して、Hシーンだけしか残ってないし」 辰実:「馬鹿か、お前は。夾は犯す所しか興味ないぞ」 相沢:「えぇ。はっきり言って、今回はAVに近いですよ」 三人は盛大な溜め息を吐き、夾が戻って来るのを待った。 しかしいくら待っても戻って来ない。 時計を見れば、かれこれ2時間が経過している。 探そうかと迷っていた時、同じ事を考えた女性陣が合流した。 睦月:「2時間も待たされてるんだけど」 辰実:「帰るか?」 斎 :「でもなぁ…」 寧々:「うん。敵に回したくない」 瑠衣:「はい。何をされるか分かりませんし」 相沢:「探す必要はありませんよ。恐らく、盛り上がっている最中でしょうから」 クールな表情で言い放った相沢は、PCの画面を見つめながら仕事をしている。 そんな相沢を見て、自分達も好きな事をしようと思った面々。 幸にもこの屋敷には、ルーレットやビリヤードがある。 相沢を除いた一同は、それぞれ遊びはじめたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |