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記念作品

いったいどれくらい続いているのだろうか。
相沢の説教はなかなか終わらない。
それどころか、違う話にまでなっている。
注意力のなさや、警戒心の薄さ。
人を信じすぎる所や、無謀すぎる所などなど。
挙げればきりがないだろうに、ここぞとばかりに言っているのだ。

さすがに辛くなったのか、徐に立ち上がった藍は、涙を流しながら部屋を出て行った。
その背中を見送り、瑠衣が柔らかく注意する。



瑠衣:「言い過ぎです」

睦月:「姫が可哀想。頑張ってるんだよ。結果が伴わないだけで…」

辰実:「フォローになってないぞ」

寧々:「まぁ…難しい所よね」

斎 :「多分…庭かな。暫くしたら帰ってくるだろうけど」

相沢:「私は事実を言ったまでです。ですが…夾様が気配を察知されても困りますので、探して来ましょう」



やれやれと藍を探しに向かった相沢は、不本意だと言う表情を張り付けている。

やっと静かになった室内では、誰もが大きな溜め息を吐いた。



辰実:「やはり面倒な事になったな」

斎 :「相沢もね、いちいち気にしなければいいのに。藍に言った所でどうにもならないんだし、ましてや夾が甘やかせてるんだからさ」

寧々:「だよね。あ〜ぁ。せっかく夾の性癖を教えてもらおうと思ったのに…」

斎 :「へぇ〜。知ってどうするの?」

寧々:「ただの好奇心。昔は凄かったんでしょ?」

瑠衣:「今でも凄いと思いますが…」

睦月:「2輪挿しは当たり前。女を女とも思わなかった、でしょ?」



辰実に視線を向けた睦月は、ほら早く話してと目で訴えた。
それを正しく受け取った辰実は、昔を思い出しながら口を開く。



辰実:「まぁ、女だけではなかったがな。しかしよくあれで孕まなかったと思う。夾に遊ばれた奴等は、どれもがドMになった」

斎 :「本当、本当。抵抗するのは最初だけ。懲りたかと思えばまた来るし。鞭で打たれて泣いて悦ぶわ失禁するわ…浣腸されて突っ込まれて喘ぎまくってイク奴ばっかりだったな」

辰実:「あの頃はマンションを一室借りてやりたい放題だった。調教を覚えたのはその時からだろう。肉奴隷同士でやらせたり、誰かも分からん男達を呼んでのパーティーだったな」

斎 :「そうそう。玄関入ると皆素っ裸で首輪してるわ玩具突っ込まれてるわ…部屋の至る所に縛られてるわぶら下がってるわ…乳首にピアスもしてたか?」

辰実:「輪のタイプだったな。それを引っ張るとよく鳴いた」



淡々と話しているが、内容は凄まじいモノだ。
睦月はある程度聞いているのか、表情は変わっていない。
しかり残りの寧々と瑠衣は、開いた口が塞がらないのと驚きで目を見開いている。



斎 :「まぁ、過去の話だしね。さすがに藍にはしてないだろ」

辰実:「それはどうだか。しかし…2穴攻めはしているはずだ。あぁ、口も入れれば3穴だな」



そんな訂正は必要ないと言いたかったが、あながち外れてはいないと思うので、誰もが無言を選択する。
しかしあの藍に、夾が鬼畜になれるのかと考えると、やはり素直には頷けない。
ある程度で抑えているはずだ。



睦月:「他は?」

辰実:「浣腸はしたと聞いた。鞭や蝋燭もだったな。玩具は…言わなくても分かるだろ?」

斎 :「俺の藍が汚れていく…」

寧々:「もう汚れてるから」



今更だろと突っ込む寧々に、泣き出した斎。
何も知らなさそうな藍だが、見た目に騙されてはいけない。
既に何でも知っている。



睦月:「まさか…ピアスはされてないよね?」

辰実:「診察で躰を見たが、それはなかったな」

寧々:「じゃぁ、縄の痕は?」

辰実:「そんなのはしょっちゅうだろ。服で隠れる場所には縄の痕があるはずだ」



断言されても困ると言うモノ。
やはり夾についていけるのは藍しかいないのだ。
それでもまだ何かしてそうだと思う睦月は、好奇心旺盛に聞いてみる。



睦月:「遊んでた時の動画ってないの?」

斎 :「あったはずなんだけど…捨てたかな?もしくは、この家の何処かにあるか」

睦月:「探してくる!」



目を輝かせて立ち上がった睦月は、物凄いスピードで消えて行った。
そしてもう一人、好奇心に負けた寧々も睦月の後を追う。
残ったのは、勝手に酒を飲んでいる辰実と斎に加え、大人しい瑠衣だ。
居心地はあまり良くないが、何処に行ってもそれは同じ。



斎 :「瑠衣は行かなくて良かったの?」

瑠衣:「私は結構です」

辰実:「相沢の仕事柄、分かっているんだろう」

斎 :「あ〜なるほどね。もし今ここで玩具突っ込まれたらどうする?」

瑠衣:「え?」



斎の言葉に驚き、固まってしまった瑠衣。
日頃から笑っている人なので、本気か冗談かが解りにくい。

黙って斎を見ていると、斎の隣に座る辰実が口を開いた。



辰実:「相沢がキレるだろうな。まぁハードプレイがしたいのなら、突っ込んでやるぞ」



こちらは完全に本気だ、と思った瑠衣。
本当は遠慮したい所なのだが、最近の相沢は忙しくてご無沙汰状態。
その所為か、悪魔の囁きが聞こえてきた。
“お願いして、相沢を困らせてやれ”と。


瑠衣が悩んでいるのが丸わかりの二人は、顔を合わせて口角を上げた。
さっと動き、瑠衣を挟むように移動したのだ。
そして、夾の部屋から拝借した玩具を取り出した辰実。



斎 :「おいおい。それは藍のだろ?」

辰実:「さっき箱から出したばかりの新品だ」

斎 :「それなら問題ないな」

瑠衣:「んっ…」



抵抗する暇もなく、躰を斎に押さえ付けられ、濡れてもいない場所に辰実から玩具を入れられてしまった。
事が終われば離れるのも早く、直ぐに元の位置に戻った二人。
なに食わぬ顔をして、飲み掛けの酒を口に含んでいる。



瑠衣:「っ…これっ」

辰実:「ただのローターだ。心配するな。まぁ少しばかり普通と違って、勝手に動いてくれる造りだそうだ」

斎 :「あまり敏感にならない方がいいよ」

辰実:「さて、相沢はどう言う反応かな?」



楽しそうに笑う二人を、ソファーの下から見上げる瑠衣。
類は友を呼ぶと言うのは本当だ。

中で動く玩具が気になって仕方ないが、睦月と寧々にはバレたくはない。
いつ戻ってくるのか分からないので、気は抜けないと、平然を装うしかなかった。


そんな事が行われているなど知らない睦月と寧々は、捜索を続けている。



睦月:「この家広すぎ!」

寧々:「だね。ってかさ、夾の部屋にあるんじゃない?」

睦月:「それって何処?」

寧々:「さぁ〜?」



夾の部屋が分からないのでは話にならない。
落ち込んだ睦月の肩を寧々が叩いた時、目の前の部屋の中から声が聞こえてきた。
そっと開けると、寝ているはずの夾が携帯を手に誰かと話している所だ。






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