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契約 【完】(★★★☆☆)

「何故かな?いつもより燃えない」

「…ぅん」

「杏奈」

「ん?」

「悪いが、いつも通りに抱く。辛いかもしれんが我慢してくれ」



相馬は腕の中でコクンと頷いた杏奈の唇にキスをし、腰の動きを速くする。
すると先程までと違い、杏奈が可愛い声で泣き出した。



「んあぁっ…あぁっ、ぅん・・・」

「そう。この声だ」



嬉しそうに呟いた相馬の背に爪を立て、首を振る杏奈。
最奥ばかりを突かれて苦しくなるが、そこには快楽もある。
激しく軋むベッドのシーツを握り、懸命に堪えながらも甘い鳴き声をあげて喜ぶ躰。
最初から、相馬の為だけに誂えたかのようだ。


突かれる度に水音が大きくなり、杏奈は耳を真っ赤にして目を瞑る。
それを楽しそうに見下ろしている相馬は、目を閉じた罰だと言うように、細い両足を肩に乗せて腰を掴んだ。



「ぃや・・それっ!!あぁぁ…」

「ここを擦ってやると…ほら、蜜が溢れてきた。そろそろか?」

「んんっ…や、やぁ・・・」

「嫌、じゃないだろ?おっと・・噴いたか」



中がぐっしょり濡れ、自身を引き抜いた相馬は、杏奈の足を大きく開いてヒクつくそこに指を入れた。



「あぁ…凄いな。ヒクヒクしている」

「っ!言わないで!あんっ」

「もう一度ここを攻めたら、また噴くかな?」



疑問形で言いながらも、既に実行している相馬の意地悪な長い指。
そこばかりを攻められ、何度も潮を噴きながら達する杏奈。
許してと口にしながらも、腰が勝手に揺れているのでは、説得力は全くない。



「杏奈…」

「っ!そっちは、あぁっ・・・」



相馬は濡れている人差し指を秘部から抜き、その指を可愛いお尻に突き刺した。
最初は固かった壁が広がっていき、卑猥な声が耳に入る。


躾過ぎたか?
まぁ、これはこれでいい。


緒方が用意した玩具を手に取り、広がった穴にゆっくりと挿入した。



「あぁぁ!抜い、て…」

「直によくなる。さて、そろそろ本気を出そう」

「相馬さっ!クっ」



名字を口にした途端、グイッと相馬自身が秘部に入って来た。
ズンッと腰にくる太さと長さに、悲鳴を上げる杏奈。
それだけでなく、クリを親指で転がされ、胸の突起を噛まれて、大きな瞳からはひっきりなしに涙が流れた。
全てを攻められ、痛みと快楽の波が押し寄せてくる。



「あぁ、あん…もう許して、お願いっ・・」

「貴之、だ」

「たか、ゆきっ・・いやぁぁぁ――――」



何度もイかされ続けた結果、杏奈の意識が落ちた。
動かなくなった杏奈の中に欲望を放った相馬は、やってしまったと大きな溜息を吐く。
やっと自分のモノに出来た喜びを、この小さな躰にぶつけてしまったのだ。



「悪い男に捕まってしまったな」



相馬は杏奈の頬にキスをし、浴室へと向かった。
シャワーを浴びて部屋に戻ると、緒方がホッとしたような顔で立っている。



「どうした?」

「家を捨ててまで、杏奈様が欲しかったのですね」

「お前は残っても良かったのだぞ」

「ご冗談を。私は相馬家ではなく、貴之様に尽くすと誓ったのです。貴之様の側が私の居場所ですよ」

「4年もかかった。杏奈も、よくこんな俺に付き合ってくれたな」

「逃げないように契約を結ぶのは…大人気なかったですよ」

「苦渋の選択の結果だ」



苦笑いを浮かべる緒方に、可笑しそうに笑う相馬。
そんな会話をしている時、寝室のドアが静かに開いた。



「家を捨てたって・・どう言うこと?」

「聞いていたのか?盗み聞きとは感心しないが、まぁ手間が省けていい。家を捨てたのは事実だ」

「納得させたんじゃっ」

「お前と結婚するから家を捨てる。だから邪魔はするな、と言う事に関しては納得した」

「本当に、いいの?」

「構わない。会社は俺自身の力で興し、成長させている。今まで適当に生きてきた俺でも、守るモノがあれば本気を出すさ」



壁で躰を支えている杏奈に近付いて抱き上げ、ニッコリと微笑む相馬。
心配するなと言い、杏奈を抱きしめる。



「就職するのなら俺の元に来い。会社も、嫁ぎ先もな」

「会社の就職は分かるけど、嫁ぎ先の意味が分かんない」

「永久就職。お前の卒業に間に合って良かった」



フフッと笑う相馬に、頬を真っ赤に染めた杏奈。
永久就職と言う言葉が、この男の口から出てくるとは思いもしなかったので、グッと言葉に詰まってしまった。

そんな杏奈に笑みを深めた相馬と緒方は、これも幸福の一つだと確信する。
何を失い、何を手にして幸福と呼ぶかは本人次第だ。



「杏奈のお母様には挨拶を済ませたし、すぐに引越しだな」

「え?いつ挨拶したの?」

「お前がバイトに勤しんでいる間。追い返されると思ったが、逆に歓迎されて驚いた。頑張りすぎて怖かったが、これで安心だと言っていたぞ。弟からも、宜しくお願いしますと頭を下げられた」



自分の知らぬ所で、何を勝手な事をしているのだと思った杏奈。
相馬もどうかと思うが、母親と弟もどうかしている。

しかし幸せな気持ちの今なら、こんな勝手も許せてしまう。
自分に凄いと思いながらギュッと相馬に抱き着き、好きと口にした。



「あのね…」

「ん?」

「夜はちょっと・・優しくっ」

「最近耳が遠くなったようでな。よく聞こえなかったのだが?」

「…絶対に聞こえてるでしょ?馬鹿!」

「馬鹿?その言葉、後悔させてやる」

「やっぱり聞こえてるじゃない!」



黒い笑みを浮かべた相馬は、杏奈を抱えたまま再び寝室へと消えていく。
二人を見送った緒方は、いつまでも幸福にと祈ったのだった。






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