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契約 【完】(★★★☆☆)

「はぁ…はぁ・・・」

「勝手にイクなよ。お前のギリギリの顔が見たいからな」



護衛達が居なくなった室内は、まだまだ妖艶な世界が続いている。
指一本動かせない杏奈を組み敷いて、やりたいようにやっている相馬。
上半身を縄で縛られたまま、犯され続けている杏奈の声は、今はもう弱々しい吐息だけになっていた。


あれでは…
杏奈様が死んでしまう・・


退室を許されなかった緒方は、動かない杏奈を助けるべきか迷う。
しかしここに残されたと言う事は、これが自分に課せられた罰なのだ。
報告しなかったお前の所為だ、もっと早く報告すればよかったのにな、と。



「っ・・・・」

「イったな。どうしてお前は言う事をきけない?ん?」



細い顎を掴んで責める相馬に、杏奈は瞳を揺らして無言の謝罪をした。
現実と夢との狭間に居る杏奈に向かって、相馬が小さな声で呟く。



「杏奈…やはりお前を手放す事が出来ない」

「ゃっ・・・」

「お前の所為でもある。今日まで俺を説得出来なかったのだからな」



今ある力を振り絞って首を横に振る杏奈に、苦笑いを浮かべる相馬。
反論の言葉は聞かないと口を塞いだ。
そして激しく腰を振り、杏奈を絶頂へと追い上げる。
そろそろ限界だろうと最奥を突き上げた瞬間、大きな声を上げて絶頂を迎えた杏奈。



「ぅあぁぁぁぁ――――」



全ての力を使い切った杏奈は、涙を流しながら意識を失った。


やっとか…
この強情娘が・・


溜息を吐いた相馬は、完全に堕ちた杏奈の頭を撫でながら、優しい笑みを浮かべた。
杏奈を解放し、シーツを掛けた相馬の足元に跪いた緒方は、何度も謝罪の言葉を口にする。



「本当に申し訳ありませんでした。私が出過ぎた事をしたばかりに…」

「原因は俺にもある」

「ですがっ」

「覚えているか?杏奈を最初に犯した時の事を」

「はい」

「あの時は俺自身も余裕がなくてな…誰かも分からん女との結婚話。反抗も出来ずに受け入れたくせに、杏奈を手放せなかった。もっと大事にしたかったのにな」



相馬は杏奈の首に掛かっているチェーンに指を絡め、ぶら下がっているモノに口づけをした。
それは、一度離れた時に渡した指輪だ。

杏奈を最初に抱いた日から見ることのなかった指輪が、今日は首にある。
今まで会う時は連絡をしていたので、わざわざ外していたようだ。
しかし今日は急遽だったので、杏奈の頭から抜けていたのだろう。
それよりも、自分が何をされるのかで頭がいっぱいだったに違いない。

相馬は飽きることなくベッドの端に座って、杏奈の頭を撫で続ける。



「嫌がる杏奈を犯した後は後悔ばかりだった」

「しかし貴之様は…」

「俺もまた、親族を説得出来なかった一人だ。杏奈を頼む」



意を決したように立ち上がった貴之は、杏奈を緒方に任せ、もう戻って来ないマンションを後にした。



「おは・・・杏…様」

「んっ・・・・」



優しく揺すり起こされ、重たい瞼を上げた杏奈。
ボンヤリしていた視界に、緒方の顔が間近にあって驚いた。



「っ!クっ・・・・」

「バイトは無理だと思いますが?貴之様からお小遣を頂いているでしょうに。どうしてバイトを続けるのですか?」

「無理でも行かないと…今からじゃ代わってくれる人なんて居ないし。それに、お小遣なんてもらってないけど?」

「え?…分かりました。お送りしますので準備を」

「貴之…帰った?」



ベッドから起き上がらずに言った杏奈に、大きく頷いた相馬。
大丈夫だと笑みを浮かべ、レモンティーを出す。



「どうぞ」

「置いてて。私…」

「はい?」

「ううん、何でもない」



不思議そうに杏奈を見つめる緒方は、思い出したように口を開いた。



「貴之様からのご伝言ですが…次はX'masイブにとの事です」

「卒業式まで会わないんじゃなかったっけ?」

「まぁ…我が儘な方ですので」

「知ってる」



もういいと言う風に立ち上がろうとした杏奈だが、足がふらつき、急いで壁に手をついた。



「杏奈様!」

「いい!大丈夫!」



杏奈は手を伸ばそうとした緒方に言い放つと、自力で風呂場へと向かった。
その背中がいつもよりも小さく見えた緒方は、大丈夫だろうかと心配になる。


準備を終えてバイト先まで送ったが、やはり不安は拭えない。
しかし“邪魔!帰ろ!”と睨みつけられ、何も出来ずに相馬の元に戻ったのだった。


死にそうな思いでバイトをこなし、やっと家に帰る事が出来たのが土曜日の夕方。
明日は朝から車校に行かなければならず、今は体力を取り戻す為に眠る事にした。


よほど疲れていたのか、翌朝まで起きなかった杏奈。
それはそうだろう。
金曜日の夜11時から翌日の朝8時まで犯され続け、昼はバイトだったのだ。
起きてもなお疲れは取れず、車校も憂鬱なまま向かった。
学校には内緒で早めに取りに行っていたので、今はもう2段階の終わり頃。
あと数回で本試験にいけると言うのに、これを逃したくはない。
それでなくても今は人が多いので、予約が取りにくいのだ。


早く大人になりたい…


そう思いながら、X'masイヴまでの間、いつもと変わらない日々を過ごしたのだった。






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あきゅろす。
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